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イボのように見える皮膚のできものには、さまざまな種類があります。代表的な12種類の特徴と見分け方を、写真とともに院長が解説します。イボ(脂漏性角化症)のレーザー治療の総合案内はこちら

「イボ」にはさまざまな種類があります

「イボ」と聞くと、多くの方は「皮膚が盛り上がったできもの」を思い浮かべると思います。

しかし実際には、イボのように見える病変は1種類ではなく、さまざまな種類があり、それぞれ性質が異なります。

代表的なものには、脂漏性角化症(老人性イボ)、ホクロ、皮脂腺増殖症、稗粒腫、ウイルス性イボ (尋常性疣贅や扁平疣贅)、アクロコルドン(軟性線維腫・スキンタッグ)、汗管腫、線維性丘疹(血管線維腫)、水いぼ(伝染性軟属腫) などがあります。

見た目は似ていても、レーザーで治療しやすいもの、そうでないものがあり、治療後の仕上がりも病変の種類によって大きく異なります。

見た目をきれいにすることが目的の治療ですから、「取れるかどうか」だけでなく、「きれいに治るかどうか」がとても重要です。

その違いを大きく左右するのが、病変の深さです。皮膚の浅い部分にある病変ほど、少ないダメージで治療でき、きれいに治る可能性が高くなります。

当院では脂漏性角化症が圧倒的に多い印象です

イボのお悩みで当院を受診される方では、脂漏性角化症(老人性イボ)が圧倒的に多い印象です。

例えば、他院で首のイボをアクロコルドン(軟性線維腫)と診断されていても、ダーモスコープで詳しく観察すると有茎性脂漏性角化症であることが少なくありません。

また、「ウイルス性イボ(尋常性疣贅・扁平疣贅)」と診断され、長年ヨクイニンを服用されている方でも、実際には脂漏性角化症だったというケースをよく経験します。

逆に、当院に来られる患者様では、本当のアクロコルドンやウイルス性イボは、それほど多くないという印象です。

この項目では、代表的なイボの特徴を分かりやすくご紹介します。見分けるヒントになるのは、色や質感、手触り、できやすい部位や分布、年齢などです。もちろん見た目だけで確実に診断できるわけではありませんが、ご自身で種類を予想する際の参考になると思います。

REPRESENTATIVE TYPES

代表的なイボ・できもの

TYPE 01

脂漏性角化症(Seborrheic keratosis、老人性イボ、老人性疣贅:Senile wart)

はじめに、American Academy of Dermatology(米国皮膚科学会)などの医学的情報をもとに、脂漏性角化症について一般的に知られている特徴をご紹介します。
脂漏性角化症とは
脂漏性角化症は、「老人性イボ」とも呼ばれる良性腫瘍です。主に中年以降に現れ、加齢とともに数が増える傾向があります。感染性はなく、人から人へうつることはありません。 小さくザラザラとした隆起として現れ、徐々に厚みを増してイボ状に盛り上がることがあります。色は肌色から褐色、黒色までさまざまで、顔や首、頭皮、胸、背中、腹部などにみられます。通常は痛みを伴いませんが、かゆみを感じることがあります。 原因不明ですが、遺伝的な体質が関係すると考えられています。また、紫外線やホルモンの影響なども関与する可能性があります。 脂漏性角化症そのものは良性のため、必ずしも治療する必要はありません。ただし、ホクロやほかの皮膚腫瘍、まれに皮膚がんと見た目が似ていることがあるため、診断には注意が必要です。 見た目が気になる場合や、衣服などに引っかかって刺激になる場合には治療を行います。一般的な治療法には、液体窒素による凍結療法、電気外科、掻爬、レーザー治療などがあります。
ここからは、当院で実際に多くの脂漏性角化症を診療・治療してきた経験をもとに、その特徴についてご紹介します。

脂漏性角化症は、当院で最も多くみられるイボです。

病変は皮膚の比較的浅い部分にあることが多いため、レーザーできれいに治りやすく、最も治療条件の良いイボと言えます。

ウイルス性ではない良性腫瘍なので、人にうつることはありません。また、適切な方法で治療すれば再発も比較的少ない病変です。

詳しい特徴・治療について読む

ほとんどは無症状ですが、ときどきかゆみを伴うことがあります。

脂漏性角化症が、全身に急激に増えたり大きくなったりして、強いかゆみを伴う場合、非常にまれですが、内臓の悪性腫瘍が原因となっていることがあります「レゼル・トレラ徴候(Leser-Trélat sign)」。

脂漏性角化症(seborrheic keratosis)という名前について

脂漏性角化症(seborrheic keratosis)という病名を分けて考えると、


seborrheic(脂漏性)=皮脂分泌が多い部位

keratosis(角化症)=角化細胞が増殖した病変

という意味になります。つまり、「皮脂分泌が多い部位にできる角化症」という名前です。

ただ、実際の診療では、この名前は少し誤解を招きやすいと感じています。

「脂漏性」ですが、皮脂とはあまり関係ない印象です

「脂漏性」と聞くと、「皮脂が多いところにできる」「脂汚れや洗顔不足が原因なのでは?」と思われる方が少なくありません。

実際にも、「洗顔が足りないからですか?」 「皮脂が多いのが原因ですか?」 というご質問をよくいただきます。

しかし、そのようなことはないと考えています。

一般的に脂漏部位とされる額や鼻、眉間よりも、お腹や背中など皮脂の少ない部位にも普通にできます。私自身の印象でも、「脂漏性」という名前ほど皮脂との関連は強くないように感じています。

「老人性イボ」も少し誤解を招く名前です

脂漏性角化症は、「老人性イボ」という名前でもよく知られています。

しかし、「老人性」といっても、老人になってからできるイボという意味ではありません。

一般的には加齢とともに増えるとされていますが、実際には20代や30代でも珍しくなく、当院でも若い患者様によく見られます。

そのため、20代の患者様に「老人性イボですね」とお伝えすると、苦笑いされることも少なくありません。

では、何と呼ぶのが分かりやすいのでしょうか?

患者様が「イボ」と認識して受診されるできものの中では、脂漏性角化症が圧倒的に多い印象です。そのため、私としては「普通のイボ」と呼びたくなるくらい身近な病変だと思っています。ただ、皮膚科で「イボ」と言うと、通常はウイルス性イボを指します。

英語でも common wart は尋常性疣贅(ウイルス性イボ)のことであり、脂漏性角化症には使われません。ですので、少し長くはなりますが、患者様に分かりやすく表現するなら、

「ウイルス性ではない普通のイボ」という言い方が、一番イメージに近いのかもしれません。

患者様が『イボ』と思って受診されるできものの多くは、実は脂漏性角化症です。

見た目の特徴

色はさまざまで、黄褐色が最も多く、黒色・灰色・白っぽいものまであります。炎症を起こすと赤く見えることもあります。

脂漏性角化症は、色だけでなく盛り上がり方もさまざまです。シミのようにほとんど平らなものもあれば、ホクロのように大きく盛り上がるものもあります。

そのため、「シミだと思って受診したら脂漏性角化症だった」ということも珍しくありません(平らな脂漏性角化症をシミ(日光性色素斑・老人性色素斑)と同一疾患する考え方もあります)。

また、スキンタッグ(アクロコルドン、軟性線維腫)のように、茎をもって皮膚からぶら下がるように見えるタイプ(有茎性脂漏性角化症)もあります。

表面はザラザラしているものが多く、ツルツルしたものは少なめです。触ると、やや硬く、プツプツ・ザラザラした手触りが特徴です(⇒アクロコルドン:ふにゃふにゃ、ホクロ:弾力ある柔らかさ)。

できやすい部位

脂漏性角化症は、1個だけできるよりも、多数できることが多い病変です。

目立つ大きなイボの周りをよく見ると、同じような小さなイボがいくつも見つかることは珍しくありません。

逆に、どう見ても1個しかない場合は、脂漏性角化症以外の病変の可能性も考慮します。

顔

顔で最も多いのは、こめかみからもみあげの前、フェイスライン(エラ付近)です。

頬上部、目の下にも比較的よく見られます。また、頭髪内にもよくできます。

一方、額や頬の中央、鼻・鼻の下・あごはやや少なめです。

もちろん数が多い方では顔全体にできますが、脂漏性角化症でこめかみに全くないというケースはあまり見かけません。

首

首も非常によくできる部位です。

「首のイボ=アクロコルドン(軟性線維腫)、スキンタッグ」と思われている方が多いのですが、当院では脂漏性角化症の方が圧倒的に多い印象です。

特に、ぶら下がるようにできる有茎性脂漏性角化症は、アクロコルドンと非常によく似ていますが、治療で気を付けるポイントやレーザーの照射方法が少し異なるため、当院ではあえて両者を区別して考えています。

首では大きく盛り上がるものは比較的少なく、小さなものが多数みられることが多いです。

身体

身体では、体幹(胸・お腹・背中・腰など)によくみられます。

特に、アンダーバスト、脇の下から脇腹、腰回りなど、日常的に擦れやすい部位に多い印象があります。

手足には比較的少なく、背中では溶けたろうそくが飛び散ったような涙型の形をしたものをよく見かけます。

原因について

脂漏性角化症の原因は、現在もはっきり分かっていません。

一般的には「加齢」「紫外線」「遺伝」などが関係すると言われています。

ただ、実際の診療では、10代はさすがに少ないですが、20代前半の方にも普通にみられますし、紫外線をほとんど浴びないお腹などにもできるため、私は加齢や紫外線だけでは説明できないと感じています。

一方で、体質(遺伝)や摩擦は関係している印象があります。

脂漏性角化症は、目立つ大きなイボだけでなく、その周囲に小さな「イボのできはじめ」がたくさん存在していることが少なくありません。当院では、このような小さなイボまで丁寧に見つけて治療することを大切にしています。

脂漏性角化症の病変の深さを示した皮膚断面図。病変が表皮内にとどまる様子を示している。

比較的浅い病変なので、きれいに治りやすいです

典型的な脂漏性角化症の臨床画像。大小さまざまな褐色調の隆起性病変が複数みられる。

典型的な脂漏性角化症。色も大きさも様々なものが多発します

脂漏性角化症の複数の画像。色調、表面の所見、形、大きさ、隆起の程度はさまざまで、有茎性のものもみられる。

脂漏性角化症のバリエーション

TYPE 02

ウイルス性イボ(尋常性疣贅:Common wart/Verruca vulgaris、扁平疣贅:Flat wart/Verruca plana)

はじめに、American Academy of Dermatology(米国皮膚科学会)などの医学的情報をもとに、ウイルス性イボについて一般的に知られている特徴をご紹介します。
尋常性疣贅は、HPV(ヒトパピローマウイルス)が皮膚の小さなキズから感染して生じる良性の皮膚病で、感染性があります。 手指、手背、膝などにできやすく、円形でざらついた隆起としてみられます。 通常は無症状ですが、圧迫や摩擦が加わる部位では痛みを伴うことがあります。 自然消退することもあるため、必ずしもすべての疣贅に治療が必要なわけではありません。 治療にはサリチル酸、液体窒素、電気外科、レーザーなどが用いられます。 成人で非常に多発する場合や難治性の場合には、背景に免疫機能の低下がないか考慮します。 扁平疣贅もHPVによる感染性のある良性の皮膚病で、小さく滑らかな丘疹が多数みられるのが特徴です。 小児では顔に多く、成人ではひげ剃りなどの剃毛部位に生じやすく、剃毛によって周囲に広がることがあります。 扁平疣贅も自然消退することがあり、症状や部位、数などを考慮して治療の必要性を判断します。
ここからは、当院で実際に多くのウイルス性イボを診療・治療してきた経験をもとに、その特徴についてご紹介します。

ウイルス性イボにはいくつか種類がありますが、最もよく見られるのは尋常性疣贅で、手足の指や足の裏によくできるタイプです。

このタイプは、一般皮膚科で行われる液体窒素療法(保険診療)が第一選択であり、多くの場合はそれで改善が期待できます。そのため、このタイプの治療では当院がお役に立てる場面はあまり多くありません。

一方、当院でご相談いただくことがあるのは、扁平疣贅(青年性扁平疣贅)です。

詳しい特徴・治療について読む

顔に小さなイボがたくさんできるタイプで、液体窒素では治療に時間がかかりやすく、無理に治療すると色素沈着が目立ってしまうこともあります。

ただし、青年性扁平疣贅は名前のとおり子どもから若い世代に多く、免疫の働きで自然に治ることも少なくありません。 そのため、実際には当院で診る機会はそれほど多くありません。

当院に来院されるのは、


ヨクイニンを飲んでも改善しない

液体窒素治療を続けてもなかなか治らない

大人になっても治らない

自然に治る可能性は分かっていても、できるだけ早く治したい

という方がほとんどです。

実際には脂漏性角化症であることも少なくありません

皮膚科で「ウイルス性イボ(尋常性疣贅、扁平疣贅)」と診断され、ヨクイニンを処方されている方でも、当院でダーモスコープを使って詳しく診察すると、脂漏性角化症だったというケースをよく経験します。

そのため、当院では本当のウイルス性イボに出会う機会は、それほど多くないという印象です。

治療するかどうかは慎重に考えます

ウイルス性イボは感染症であり、自然治癒する可能性もあります。

一方で、再発することも珍しくありません。

そのため当院では、すぐに治療をおすすめするのではなく、自然に治る可能性や治療のメリット・デメリットも含めてご説明し、治療するかどうかを一緒に考えるようにしています。

幸い、これまでレーザー治療を受けられた患者様には、概ねご満足いただけています。

見た目の特徴

色は肌色よりやや白っぽいものや、うっすら赤みを帯びたものが多い印象です。

微妙に出血していることも多いです。

脂漏性角化症でも炎症を起こして赤くなることはありますが、その場合はたくさんあるイボの中の一部だけが赤くなることがほとんどです。

一方、ウイルス性イボは病変全体が赤みを帯びることが多く、ニキビと間違われることもあります。

また、赤みが強くなってきた場合は、免疫が働いて自然治癒に向かっているサインで、やがてかさぶたになって自然に取れることもあります。

触るとやや硬く、ガサガサした手触りが特徴です。感染する可能性があるため、なるべく触らないようにしましょう。

扁平疣贅は、盛り上がりが少なく、比較的平らに見えるものが多いのが特徴です。

一方、尋常性疣贅は、やや赤みがあり、表面がザラザラとしていることがあります。また、角のように細長く盛り上がる「糸状疣贅」と呼ばれるタイプもあります。

こうしたイボは、多数の脂漏性角化症(いわゆる加齢に伴うイボ)の中に混じっていることもあります。脂漏性角化症と比べると、茶色味が少なく、やや赤みが強いことや、盛り上がりが目立つことが、見分ける際の一つの手がかりになります。

できやすい部位

顔では比較的どこにでもできます。

脂漏性角化症では少ない鼻やあごにもよく見られます。

また、ウイルスが広がることで、線状に並んだり、まとまって集団でできたりすることも特徴です。

こんな方はご相談ください


大人になっても治らない

ヨクイニンや液体窒素治療で限界を感じている

自然治癒を待つより、できるだけ早く治したい

このような場合は、ぜひ一度ご相談ください。当院では、それぞれの状況に合わせて最適な治療方法をご提案し、できる限りきれいな仕上がりを目指します。

脂漏性角化症とウイルス性イボの比較

イボの種類 脂漏性角化症 ウイルス性イボ
原因 良性腫瘍(原因不明) ウイルス感染
うつる × 〇
自然に治る × 〇(治ることがある)
ヨクイニン 効果なし 効果が期待できる場合がある
多い部位 顔・首・体幹 手の指、足の指、足の裏・顔など

※スマートフォンでは横にスクロールしてご覧いただけます。

脂漏性角化症とウイルス性いぼ(尋常性疣贅)の病変の深さを比較した皮膚断面図。脂漏性角化症は表皮内にとどまり、尋常性疣贅は一部がより深く入り込む様子を示す。

ウイルス性イボは、脂漏性角化症に比べて病変がやや深くまで及んでいる印象で、その分、治療にもある程度の深さが必要になることがあります

尋常性疣贅(いぼ)の複数の画像。表面が粗く角化した、さまざまな大きさや形の隆起がみられる。

ウイルス性イボにも、様々なバリエーションがあります。脂漏性角化症と比べると、盛り上がりが強く、より突出して見えるものが多い印象です

TYPE 03

アクロコルドン(軟性線維腫・スキンタッグ、Acrochordon、Skin tag)

はじめに、American Academy of Dermatology(米国皮膚科学会)などの医学的情報をもとに、アクロコルドンについて一般的に知られている特徴をご紹介します。
アクロコルドン(スキンタッグ・軟性線維腫)は、無害な良性の皮膚のできものです。 頸部、腋窩、眼瞼、鼠径部など、皮膚や衣服がこすれやすい摩擦部位によくみられます。 色は皮膚色、褐色、ピンク色などで、大きさや形には個人差があります。 皮膚から茎をもって、ぶら下がるようにできるものが多いのが特徴です。 肥満のある方、妊娠中の方、糖尿病のある方などにできやすく、遺伝的な要因も関係すると考えられています。 通常は無症状で、健康上の害はありません。 そのため、症状がなければ基本的に治療する必要はありません。 ただし、見た目が気になる場合や、衣服などにこすれて出血・痛みが生じる場合には治療を検討します。 治療には液体窒素による凍結療法、電気外科、ハサミなどによる剪除などがあります。
ここからは、当院で実際に多くのアクロコルドンを診療・治療してきた経験をもとに、その特徴についてご紹介します。

アクロコルドンは、首や脇の下、鼠径部など、日常的に擦れやすい部位によくみられる小さな突起です。一般的には「スキンタッグ」と呼ばれることもあります。

ほとんどは肌色で、摩擦などによって色素沈着を起こすと茶色く見えることもあります。また、引っ張ったり何度も触ったりすると赤く炎症を起こすことがあります。

詳しい特徴・治療について読む

見た目の特徴

アクロコルドンは、やわらかく、ふにゃふにゃした手触りが特徴です。

皮膚から小さくぶら下がるように突出しており、指でつまめるような形をしています。

一方、脂漏性角化症はやや硬く、プツプツ・ザラザラした手触りで、皮膚の中にも病変が入り込んでいるため、触った感じも少し異なります。

首のイボは、実際には脂漏性角化症のことが多い印象です

「首のイボ=アクロコルドン」と思われている方や、そのように説明を受けた方も少なくありません。しかし、当院を受診される患者様では、実際には有茎性脂漏性角化症であることが多いという印象です。

ダーモスコープで観察すると、脂漏性角化症に特徴的な所見が確認できることが多く、アクロコルドンは脂漏性角化症がたくさんある中に少し混じっている程度、というケースがほとんどです。

見た目は似ていますが、治療方法は少し違います

「見た目が似ているなら、どちらでもいいのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、当院では治療方法を変えているため、この違いはとても重要だと思っています。 アクロコルドンは、皮膚の表面から柔らかく突出する病変で、脂漏性角化症のように皮膚の中まで入り込んでいるわけではありません。

そのため、突出した部分を切除したり、レーザーで根元を処理したりする、比較的浅い処置で治療できることが多く、皮膚の深い部分まで治療する必要はありません。

一方、脂漏性角化症は皮膚の中にも病変が入り込んでいる良性腫瘍です。

アクロコルドンと同じような方法で表面だけを治療すると、病変組織が残り、取り残しや再発の原因になることがあります。

だから診断が大切です

見た目がよく似ていても、病変の性質が違えば、最適な治療方法も変わります。

もちろん、ダーモスコープでも100%診断できるわけではなく、確定診断には病理検査が必要な場合もあります。それでも、肉眼だけで判断するより診断の精度は大きく向上します。

当院ではダーモスコープを用いて丁寧に診察し、それぞれの病変に適した治療方法を選択しています。

有茎性脂漏性角化症とアクロコルドンの構造を比較した皮膚断面図。脂漏性角化症は表皮に病変がみられるのに対し、アクロコルドンは皮膚が有茎状に突出しているのみ。

脂漏性角化症をアクロコルドンと同様の方法で取り除いた場合、表皮内に病変組織が残存し、再発の原因となることがあります

複数のアクロコルドンと有茎性脂漏性角化症の比較画像。いずれも有茎性だが、表面の性状などに微妙な違いがみられる。脂漏性角化症では、cerebriform patternやfissures/ridgeが見られる。

アクロコルドンと有茎性脂漏性角化症は、肉眼ではよく似ていますが、ダーモスコープで観察することで、両者の違いが分かることが多いです

TYPE 04

皮脂腺増殖症(Sebaceous hyperplasia)

はじめに、American Academy of Dermatology(米国皮膚科学会)などの医学的情報をもとに、脂漏性角化症について一般的に知られている特徴をご紹介します。
皮脂腺増殖症は、皮脂をつくる皮脂腺が大きくなって生じる良性の皮膚病変です。 主に中年以降の成人にみられ、特に顔面にできやすいのが特徴です。 小さな黄白色~皮膚色の丘疹としてみられ、表面は比較的滑らかです。 病変の中央に小さなくぼみがみられることがあります。 感染症ではないため、他人にうつることはありません。 通常は無症状で健康上の害はなく、基本的に治療は必要ありません。 見た目が気になる場合には、希望に応じて治療を検討します。 治療には電気外科、凍結療法、レーザー、光線力学療法(PDT)などがあります。 見た目が基底細胞癌と似ることがあるため、診断がはっきりしない場合には病理検査を行うことがあります。 急に大きくなる、出血するなどの変化がある場合には、皮膚科で診察を受けることが大切です。
ここからは、当院で実際に多くの脂漏性角化症を診療・治療してきた経験をもとに、その特徴についてご紹介します。

皮脂腺増殖症は、本来は小さい皮脂腺が大きくなり、皮膚を内側から押し上げることでできる良性のできものです。

比較的よく見られる病変で、脂漏性角化症の中にポツポツと混じっていることもあれば、皮脂腺増殖症だけが多数みられる方もいらっしゃいます。

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見た目の特徴

色はやや黄白色〜淡いピンク色をしていることが多く、よく見ると毛穴を囲むようなリング状(ドーナツ状)の膨らみに見えることがあります。

表面はツルッとしていて、脂漏性角化症のようなザラザラした質感はほとんどありません。

顔では比較的どの部位にもみられます。

脂漏性角化症より治療は少し難しくなります

皮脂腺はもともと真皮(皮膚の深い部分)にあるため、脂漏性角化症よりも深い部分まで慎重に治療する必要があり、再発なくきれいに治すには高度な技術が要求されます。

そのため、


治療後の赤みや色素沈着がやや長引きやすい

一時的に少し凹んで見えることがある

病変に色がないため、取り切れたかを判断しにくく、再発してくることがある

脂漏性角化症よりも一つひとつ慎重な治療が必要なため治療に時間がかかり、1回の治療で対応できる個数が少なくなる

など、脂漏性角化症と比べると少し不利な条件があります。 治療後の赤みや一時的な凹みが落ち着くまでにはある程度の時間がかかりますので、不安な方は、まずは数個を試験的に治療して経過をご確認いただいてから残りを治療する方法がおすすめです。

それでも治療する価値は十分あります

このように脂漏性角化症より治療の難易度は少し上がりますが、最終的には満足していただける結果になることが多い病変です。

病変の特徴を見極めながら、一つひとつ丁寧に治療することで、目立ちにくく自然な仕上がりを目指すことができます。

そのため、見た目や肌の凹凸が気になる場合は、十分に治療を検討する価値があると考えています。

脂漏性角化症と皮脂腺増殖症の深さを比較した皮膚断面図。脂漏性角化症は表皮内、皮脂腺増殖症は真皮内に位置する。

脂漏性角化症と違い、皮脂腺増殖症は皮膚のより深い部分に病変があります。そのため、治療も脂漏性角化症より深い部分まで行う必要があります。

皮脂腺増殖症の複数の拡大写真。毛穴を中心に皮脂腺が増大し、周囲が周堤状に隆起している。脂漏性角化症に混在してみられることも多い

皮脂腺増殖症は、脂漏性角化症の中に混在していることが多いです。見た目には、中央がくぼみ、その周囲が盛り上がった「ドーナツ状」の形をしていることが特徴です

TYPE 05

鼻にできる赤みを帯びたイボ(線維性丘疹・Fibrous Papule・血管線維腫)

はじめに、鼻の線維性丘疹(血管線維腫)について一般的に知られている特徴をご紹介します。
鼻の線維性丘疹(血管線維腫)は、主に成人の鼻やその周囲にできる良性の皮膚病変です。 通常は数mm程度の小さなドーム状の丘疹としてみられます。 表面は滑らかで、色は皮膚色~ピンク色・赤色などです。 多くは単発で、長期間ほとんど大きさが変わらないことがあります。 通常は無症状で、健康上の害はありません。 感染症ではないため、他人にうつることはありません。 良性のため、診断が明らかで症状がなければ**基本的に治療は必要ありません。 見た目が気になる場合には、切除、電気外科、レーザーなどによる治療を検討します。 鼻にできる**基底細胞癌などと見た目が似ることがある**ため、診断がはっきりしない場合には病理検査を行うことがあります。 出血する、潰瘍になる、大きくなるなどの変化がある場合には、皮膚科で診察を受けることが大切です。
ここからは、当院で実際に多くの鼻の線維性丘疹(血管線維腫)を診療・治療してきた経験をもとに、その特徴についてご紹介します。

「鼻に小さく赤いイボがある」という場合、その多くは線維性丘疹(Fibrous Papule)です。

血管線維腫の一タイプと考えられており、鼻先や小鼻によく見られます。

ちなみに、私の鼻にもあります。

詳しい特徴・治療について読む

見た目の特徴

少し赤みを帯びた、丸くドーム状に盛り上がったできものです。表面はツルッとした光沢があり、脂漏性角化症のようなザラザラ感はありません。

通常、痛みやかゆみはありません。

一見すると皮脂腺増殖症にも似ていますが、毛穴との位置関係やダーモスコープで観察した所見は明らかに異なります。

治療について

線維性丘疹は真皮(皮膚の深い部分)に存在するため、脂漏性角化症よりもやや深い病変です。

当院では炭酸ガスレーザーで治療しますが、鼻先は特に目立つ部位なので、仕上がりを重視して慎重に治療を行います。

深く削りすぎると凹みの原因になり、逆に浅すぎると病変が残って再び目立ってくることがあります。

そのため、「しっかり取り切ること」と「凹みを残さないこと」のバランスを見極めながら治療しています。

きれいに治ることが多いですが…

最終的にはきれいに改善することが多い病変ですが、凹みをできるだけ残さないことを優先するため、1回で無理に取り切らず、数回に分けて治療した方がきれいな仕上がりになることもあります。

脂漏性角化症と線維性丘疹の深さを比較した皮膚断面図。脂漏性角化症は表皮内、線維性丘疹は真皮内に位置する。

脂漏性角化症と違い、線維性丘疹は皮膚のより深い部分に病変があります。そのため、治療も脂漏性角化症より深い部分まで行う必要があります。

鼻に生じた線維性丘疹の臨床画像。鼻表面に小さな隆起性病変がみられる。

鼻先にみられるイボ状の隆起の多くは、線維性丘疹です。脂漏性角化症と比べると、表面がつるっとしてなめらかで、やや赤みを帯びていることが多いのが特徴です。

TYPE 06

老人性血管腫(Cherry angioma)

はじめに、American Academy of Dermatology(米国皮膚科学会)などの医学的情報をもとに、老人性血管腫について一般的に知られている特徴をご紹介します。
老人性血管腫は、皮膚の細い血管が増えてできる良性の皮膚のできものです。 主に30歳以降にみられるようになり、年齢とともに数が増える傾向があります。 特に胸やお腹、背中などの体幹に多くみられます。 鮮やかな赤色~暗赤色の小さな丸いできものとして現れ、少し盛り上がることもあります。 大きさは数mm程度のものが多く、通常は無症状です。 良性の病変なので、健康上の害はありません。 そのため、症状がなければ基本的に治療する必要はありません。 見た目が気になる場合や、こすれて出血する場合などには治療を検討します。 治療には電気外科、レーザー、切除などがあります。
ここからは、当院で実際に多くの老人性血管腫を診療・治療してきた経験をもとに、その特徴についてご紹介します。

老人性血管腫は、毛細血管が増殖・拡張することでできる良性の血管性病変です。「赤いイボ」のように見えることがありますが、ウイルス性のイボではありません。名前に「老人性」とありますが、20代頃からみられることもあり、年齢とともに少しずつ増えてくることがよくあります。

また、同じように加齢とともに増える脂漏性角化症(老人性いぼ)と一緒にみられることも少なくありません。

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見た目の特徴

通常は数mm程度までの大きさで、鮮やかな赤色から暗赤色をした、表面がなめらかなできものです。平らなものもあれば、少し盛り上がっているものもあります。

痛みやかゆみなどの症状はほとんどありませんが、衣類やアクセサリーなどで擦れて出血することがあります。

治療について

健康上問題になることはほとんどありませんが、見た目が気になる場合や、繰り返し出血する場合には治療を検討します。

当院では、病変の大きさや状態に応じて炭酸ガスレーザーや光治療器(ノーリス)を用い、比較的短時間で治療を行っています。どちらの治療が適しているかは、診察のうえでご提案いたします。

老人性血管腫の拡大写真。赤い血管が房状に集まって見え、隣に小さな脂漏性角化症がみられる

老人性血管腫は、赤く盛り上がって見えることが多く、一般には「赤いイボ」として認識されることの多い病変です。

老人性血管腫、脂漏性角化症、ほくろ(色素性母斑)が同じ皮膚上にみられる臨床画像。それぞれ異なる色調や形態を示している。

多発する脂漏性角化症を診察していると、その中に老人性血管腫が混在しているケースもしばしばみられます。

TYPE 07

ホクロ(色素性母斑、Melanocytic nevus)

はじめに、American Academy of Dermatology(米国皮膚科学会)などの医学的情報をもとに、色素性母斑(ほくろ)について一般的に知られている特徴をご紹介します。
色素性母斑(ほくろ)は、色素をつくる細胞が集まってできる一般的な良性の皮膚病変です。 ほとんどの成人にみられ、多くは小児期から思春期にかけて現れます。 色は褐色、黒色、ピンク色、皮膚色などさまざまです。 一般的なほくろは円形で、平らまたは少し盛り上がり、色が均一なのが特徴です。 体のどこにでもでき、通常は無症状で健康上の害はありません。 多くのほくろは良性のため、基本的に治療する必要はありません。 ただし、衣服に引っかかる、繰り返し出血する、見た目が気になる場合などには切除を検討します。 ほくろに似て見える皮膚がんとして、特に**悪性黒色腫(メラノーマ)**に注意が必要です。 形が左右非対称、境界が不規則、色がまだら、大きくなる、形や色が変化する場合には皮膚科で確認しましょう。 また、急に変化する、かゆい、出血する、新しいほくろが成人になってから現れた場合も皮膚科への受診が勧められます。
ここからは、当院で実際に多くの色素性母斑を診療・治療してきた経験をもとに、その特徴についてご紹介します。

皆さんが思い浮かべるホクロというと、

「子どもの頃からあって、黒く盛り上がっているもの」ではないでしょうか。

実際にはホクロにもさまざまな種類があり、

詳しい特徴・治療について読む

シミのように平らで色が薄いもの

肌色でイボのように見えるもの

灰色や青みがかったもの

大きく盛り上がるもの

など、見た目はさまざまです。

また、子どもの頃からあるものだけでなく、多くのホクロは小児期から思春期にかけて現れ始め、20~30代頃まで少しずつ増えていきます。その後は新しくホクロができることは少なくなり、代わってシミや脂漏性角化症などが増えてくることが多いです。

脂漏性角化症と比べると、表面はツルッとしていることが多く、触ると弾力のある柔らかさがあります。太い毛が生えていることも珍しくありません。
脂漏性角化症は黄色味のある茶色に見えることが多いのに対して、ホクロはやや赤みのある茶色(赤茶色)に見えることが多いように感じます。

レーザーできれいに治るホクロもありますが、そうでないものもあります

ホクロは、病変の深さによって

比較的浅い層に限局するタイプ(junctional nevus)

真皮の深いところまで存在するタイプ(intradermal nevus)

などに分けられます。

この違いによって、レーザー治療の適応や仕上がりは大きく変わります。

表在性のホクロの中には、レーザーで比較的きれいに改善するものもあります。

しかし、真皮まで深く入り込んだホクロでは事情が異なります。

深いホクロはレーザーが最善とは限りません

深いホクロを炭酸ガスレーザーで完全に取り切ろうとすると、皮膚へのダメージも深くなります。

その結果、


凹んだ傷跡(陥没瘢痕)

ホクロの再発

が起こることがあります。

逆に、傷跡を残さないよう浅めに治療すると、母斑細胞が残り、再びホクロが出てくる可能性があります。

つまり、「傷跡を少なくすること」と「再発を防ぐこと」の両立が難しい病変なのです。

このようなホクロでは、生検パンチやメスによる切除(手術)の方が、一度できれいに治る可能性が高いことも少なくありません。

当院ではホクロ治療は行っていません

当院ではメスによる切除を行っていません。

そのため、ホクロの種類によっては、レーザー治療より切除術の方が適しているにもかかわらず、最適な治療をご提供できない場合があります。

患者様にとって最善の治療をご案内したいという考えから、現在はホクロ治療を目的とした受診はお受けしておりません。

脂漏性角化症と色素性母斑の深さを比較した皮膚断面図。脂漏性角化症は表皮内、色素性母斑は真皮内に位置する。

脂漏性角化症と比べると、ホクロは皮膚のより深い部分まで病変が及んでいることが多いです。なかにはかなり深いものもあり、レーザー治療だけではきれいに取り切ることが難しい場合があります。

ほくろ(色素性母斑)の拡大画像。色調や表面の性状など、病変の細かな特徴が確認できる。

脂漏性角化症は、黄色味のある茶色で、やや硬い質感のものが多い一方、ホクロは赤みのある茶色で、触ると弾力がありやわらかく感じるものが多い印象です。

TYPE 08

汗管腫(かんかんしゅ、Syringoma)

はじめに、汗管腫について一般的に知られている特徴をご紹介します。
汗管腫は、汗を出す管(汗管)の細胞が増えてできる良性の皮膚のできものです。 主に目の周り、特に下まぶたにできやすく、左右に多数みられることがあります。 皮膚色~黄白色の小さな丘疹で、表面は比較的滑らかなのが特徴です。 思春期以降に目立つことが多く、女性に多くみられます。 感染症ではないため、他人にうつることはありません。 通常は無症状で、健康上の害はありません。 良性のため、症状がなければ基本的に治療する必要はありません。 見た目が気になる場合には、レーザー、電気外科、切除などによる治療を検討します。 治療後に再び目立ってくることがあり、瘢痕や色素変化が生じる可能性もあります。 ここからは、当院で実際に多くの汗管腫を診療・治療してきた経験をもとに、その特徴についてご紹介します。

汗管腫は、目の周り、特に目の下の内側(いわゆるクマのあたり)によくできる良性のできものです。

女性に多く、思春期頃から少しずつ目立ってくることが多く、ホルモンとの関係も示唆されていますが、はっきりとした原因は分かっていません。

詳しい特徴・治療について読む

見た目の特徴

一つひとつは数ミリ以下と小さく、ポコッと大きく盛り上がるというより、わずかに膨らんでいる程度です。

表面はツルッとして光沢があり、色は肌色のことがほとんどです。

単発よりも左右対称に多数できることが多く、密集すると隣同士がつながって見えることもあります。

この左右対称に多発するという特徴は、他のイボとの見分けるポイントの一つです。

見た目以上に深い病変です

汗管腫は、真皮にある汗管へ分化した細胞が増殖する良性腫瘍です。

表面から見ると小さく浅そうに見えますが、実際には病変は意外と深く、小さな腫瘍が真皮内に散らばるように存在していることが少なくありません。

そのため、完全に取り切ることは決して簡単ではありません。

現在もさまざまな治療法が行われていますが、「これが一番」といえる治療法がまだ確立されていないことからも、治療の難しさが分かります。

当院での治療

当院では、炭酸ガスレーザーによる治療を行っています。

病変を確認しながら少しずつ治療を進められるため、取り残しとダメージのバランスを考えながら治療できる方法だと考えています。

汗管腫は深い病変なので、表面だけを削っても十分な効果は期待できません。

そのため、ある程度深い部分まで治療する必要があります。

「深く削る」と聞くと傷跡を心配される方も多いのですが、まぶたは皮膚の治りが非常に良い部位です。

実際には、最終的に凹みや目立つ傷跡になることは少なく、きれいに改善することが多い印象です。 ただ、汗管腫は比較的深い部分まで治療するため、治療後の赤みや一時的な凹みが落ち着くまでにはある程度の時間がかかります。経過が気になる方は、最初からすべてを治療するのではなく、まずは数個を試験的に治療し、仕上がりや経過をご確認いただいてから残りを治療する方法がおすすめです。

また、病変が密集している場合は、一度に広範囲を治療すると皮膚への負担が大きくなるため、数回に分けて治療した方がきれいに仕上がることもあります。

よく似た病変:エクリン汗嚢腫(Hidrocystoma)

汗管腫とよく似た病変に、エクリン汗嚢腫があります。

こちらは腫瘍ではなく、汗管が拡張して袋状になり、中に汗がたまった状態です。

見た目は数ミリの膨らみで汗管腫によく似ていますが、


少し青みがかった半透明に見える

光を当てると透けて見える

夏になると増えたり目立ったりする

といった特徴があります。

汗管腫のように腫瘍組織を取り切る必要はなく、当院では炭酸ガスレーザーで内容液を排出し、汗管に軽くダメージを与える程度で改善することが多いと考えています。

また、汗との関係が強いため、マイクロボトックス(スキンボトックス)が有効な場合もあります。

脂漏性角化症と汗管腫の深さを比較した皮膚断面図。脂漏性角化症は表皮内、汗管腫は真皮内にも位置する。

汗管腫は、一見すると表面的なできものに見えますが、病変の主体は皮膚のより深い部分(真皮)にあります。そのため、脂漏性角化症よりも深い部分まで治療する必要があります。

汗管腫の臨床イメージ。上まぶたから下まぶたにかけて、主に目頭側に小さな隆起性病変が集簇している。

汗管腫は比較的特徴的な左右対称の分布をすることが多いです。表面はつるっとして光沢があり、色は肌色に近いものがほとんどです。

TYPE 09

稗粒腫(ひりゅうしゅ、Milia、Milium)

はじめに、稗粒腫について一般的に知られている特徴をご紹介します。
稗粒腫は、皮膚の浅い部分に角質がたまってできる良性の小さなできものです。 白色~黄白色の1~2mm程度の小さな粒としてみられます。 特に目の周り、まぶた、頬、鼻などの顔面によくみられます。 赤ちゃんから大人まで、どの年齢でもできることがあります。 通常は痛みやかゆみなどの症状はありません。 感染症ではないため、他人にうつることはありません。 健康上の害はなく、自然に消えることもあるため、基本的に治療は必要ありません。 見た目が気になる場合には、皮膚科で小さな穴を開けて内容物を取り出す処置などを行います。 無理につぶしたり針で取ったりすると、炎症、感染、傷あとの原因になるため自己処置は避けましょう。 白いできものにはニキビなど別の病気もあるため、診断がはっきりしない場合は皮膚科で確認しましょう。
ここからは、当院で実際に多くの稗粒腫を診療・治療してきた経験をもとに、その特徴についてご紹介します。

稗粒腫は、数ミリ以下の白い粒状のできもので、目の周りや額によくみられます。

真っ白に見えることが多いですが、光の当たり方によっては少し青みがかって見えることもあります。

触るとプツッとした硬い粒のように感じるのが特徴です。

詳しい特徴・治療について読む

脂漏性角化症のようなザラつきはなく、皮膚の中に白い粒が入っているように見えるのが特徴です。

稗粒腫は、角質の成分であるケラチンが、小さな袋(嚢腫)の中にたまったものです。

そのため、中のケラチンを嚢腫ごと取り除けば、きれいに治ることがほとんどです。

当院での治療

当院では、炭酸ガスレーザーで小さな出口を作り、中にたまったケラチンを嚢腫ごと一つひとつ丁寧に押し出して取り除きます。ただし、まぶたなどは、皮膚が薄く、眼球への配慮から強い力で圧出することができないため、より慎重な処置が必要になります。比較的シンプルで治りやすい病変ですが、一つひとつ丁寧に処置を行う必要があるため、数が多い場合は治療に時間がかかります。

そのため、一度に多くの病変を治療することは難しく、通常は定額プランやエリア治療プランの対象外としています。ただし、病変の数や状態によっては対応できる場合もありますので、お気軽にご相談ください。

稗粒腫と脂漏性角化症が隣接してみられる拡大写真。両者の色調や表面の性状の違いが確認できる。

稗粒腫は、白色の小さな粒状の隆起としてみられる、比較的硬いできものです。特に目の周りや額にできることが多いのが特徴です。

TYPE 10

水いぼ(伝染性軟属腫:Molluscum contagiosum/Water wart)

水いぼは、伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus)による皮膚の感染症です。小さなお子さんに多くみられますが、大人でも発症することがあります。

見た目の特徴

白色~少しピンク色がかった、数mm程度のツルっとしたドーム状の盛り上がりができるのが特徴です。病変の中央にはおへそのようなくぼみがみられることが多く、見た目は皮脂腺増殖症と似ている場合がありますが、ダーモスコピー(拡大鏡)で見分けられることが多いです。触った感じはやや硬めですが弾力があります(触らないほうがよいですが)。

詳しい特徴・治療について読む

治療について

水いぼは、体の免疫によって自然に治ることが期待できるため、必ずしも治療が必要というわけではありません。ただし、自然に治るまでには数か月から1年以上かかることもあり、見た目が気になる場合や、早めの改善を希望される場合には治療をご提案しています。

治療を行う場合は、保険診療の皮膚科で行われる専用のピンセットによる摘除が一般的です。当院では、病変の部位や大きさ、数などからピンセットでの摘除が難しい場合に、炭酸ガスレーザーによる治療を選択することがあります。

炭酸ガスレーザーでは、病変内にあるウイルスを多く含む内容物を焼灼・蒸散して除去します。炭酸ガスレーザーによる治療は、出血が少なく、より細かい病変にも対応可能です。

治療後はきれいに治ることが多いですが、ウイルス感染症のため、新たな病変ができることがあります。そのため、必要に応じて追加の治療をご案内する場合があります。

皮膚にできた、中央がややくぼんだ小さな丸い水いぼを拡大した写真。

水いぼは、中央に小さなくぼみのあるドーム状の盛り上がりが特徴です。小さな皮脂腺増殖症とよく似ていますが、ダーモスコープで観察することで見分けられることが多いです。

TYPE 11

皮膚線維腫(Dermatofibroma)

皮膚線維腫は、太ももやすね、ふくらはぎ、腕などによくみられる良性の皮膚のできものです。

5mm前後(3〜10mm程度)のものが多く、褐色で少し盛り上がった、やや硬めのしこりとして触れます。色は中央がやや薄く、周囲に向かって濃く見えることもありますが、見た目には個人差があります。

原因ははっきり分かっていませんが、虫刺されや小さなケガなどをきっかけにできることがあると考えられています。

詳しい特徴・治療について読む

皮膚線維腫は良性のため、通常は治療の必要はありません。自然に少し小さくなることはありますが、完全に自然になくなることは少ないとされています。そのため、見た目が気にならなければ経過観察で問題ないことがほとんどです。

一方で、見た目が気になる場合には治療をご希望されることがあります。皮膚線維腫は皮膚の深い部分(真皮)にできるため、炭酸ガスレーザーでは深部まで十分に除去しようとすると傷跡が残りやすく、浅く治療すると病変が残ってしまう可能性があります。そのため、炭酸ガスレーザーによる治療はおすすめしていません。

根本的に取り除く方法は手術による切除になります。ただし、切除した場合は線状の傷跡が残るため、慎重な判断が必要です。

下肢に生じた皮膚線維腫の臨床画像。皮膚に硬く盛り上がった小さな結節がみられる。

IMPORTANT

見た目だけで確実に診断することはできません

色や質感、手触り、できやすい部位や分布、年齢などは、病変を見分けるヒントになります。
ただし、見た目だけで確実に診断できるわけではありません。
当院ではダーモスコープを用いて丁寧に診察し、それぞれの病変に適した治療方法を選択しています。

この記事は私が書きました
銀座お肌の診療所 院長 卯辰哲也

卯辰 哲也

1998年慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学病院、平塚市民病院、伊勢慶應病院、杏林大学病院、けいゆう病院(横浜)にて形成外科・外科・麻酔科を臨床経験。ヴェリテクリニック・シロノクリニックなどで美容医療に携わって約20年以上の経験あり。2015年東京・銀座に「銀座お肌の診療所」を開設。
患者様に優しい、正直で真摯な医療を目指しています。趣味は愛犬との時間とダーモスコープ。学生時代のスポーツは空手と柔道です。

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