目次
- ボトックスのよくあるご質問(FAQ)
- ボトックス治療一般のFAQ
- Q : ボトックスの安全性は大丈夫でしょうか?
- Q : ボトックス治療ができない場合は?
- Q : 妊活中でもボトックス治療は可能ですか?
- Q : ボトックス治療の効果はいつから出る?
- Q : ボトックスで表情が不自然になりませんか?
- Q : ボトックス後の入浴、飲酒、サウナで効果は落ちますか?
- Q : ボトックスと他の治療(レーザーやハイフなど)との併用は可能?
- Q : ボトックス治療後のダウンタイムは?
- Q : 治療時の痛みはありますか?
- Q : ボトックス治療後は違和感を感じますか?
- Q : ボトックスの効果持続時間はどれくらいですか?
- Q : ボトックスの各部位における必要量は?
- Q : ボトックス治療の副作用は?
- Q : ボトックス治療の失敗とは?
- Q : ボトックス治療は保険適応がありますか?
- Q : ボトックス治療の値段の違いは?
- Q : ボトックスが効きすぎた場合、それの効果を消す方法はありますか?
- Q : ボトックスで眼瞼下垂が起きた時の有効な治療法はありますか?
- Q : ボトックスに対する抗体で効かなくなることはありますか?
- Q : ボトックスが効かなかったときの追加治療は可能ですか?
- Q : ボトックス治療で全く効果を感じられない場合、何が考えられますか?
- Q : クリニックによって使用するボトックスの量は違いますか?
- Q : ボトックスリフトとは何ですか?
- Q : 額のボトックスで失敗しました。眉毛が吊り上がり、不自然な表情に。これは普通ですか?
- Q : 眉間のボトックスが効きません。どうしてですか?
- Q : ボトックスで色素沈着が起こることはありますか?
- Q : フェイスラインのもたつきに対してボトックスは有効ですか?
- Q : 目の下へのボトックスで、まぶたの外反(アッカンベー)になることはありますか?
- Q : 口角を上げるボトックスの副作用は?
- Q : 額のボトックスで眉を上げる癖は治る?
- Q : 眉尻のしわに有効な治療法は?
- マイクロボトックスでよくある質問(FAQ)
- Q : 痛みは強いですか?
- Q : 腫れや内出血などのダウンタイムはありますか?
- Q : 表情が固まったり不自然にはなりませんか?
- Q : 効果の強さは調節できますか?
- Q : フェイスラインの改善以外の効果は?
- Q : 治療後メイクはできますか?
- Q : マイクロボトックスとメソボトックスの違いは?
- Q : マイクロボトックスとボトックスリフトの違いは?
- Q : マイクロボトックスは通常のボトックスとは別の料金が必要ですか?
- Q : マイクロボトックスはどこでも注射できますか?
- Q : マイクロボトックスは、通常のボトックス同様の即効性はありますか?
- Q : ノーニードルメソセラピー(エレクトロポレーション)やダーマペン、水光注射(機械式インジェクター)などでも、マイクロボトックスと同様の効果を得ることは可能ですか?
- Q : ボトックスにもいろいろ種類があると聞いたのですが?
- Q : マイクロボトックスでも数か月の治療間隔が必要ですか?
- Q : 頬にマイクロボトックスをして逆にたるむことはありますか?
- Q : 額のマイクロボトックスで下垂は起きやすいですか?
- ボトックス治療一般のFAQ
ボトックスのよくあるご質問(FAQ)
※おことわり
このQ&Aの回答については、当院での診療を基準にしています。
当院以外のクリニックの診療に当てはまるとは限りません。
同じ治療機器・医薬品を使用していても、治療方法は大きく異なります。
予めご了承ください。
ボトックス治療一般のFAQ
Q : ボトックスの安全性は大丈夫でしょうか?
A : Allergan Aesthetics Japan正規品を使用している限り、安全性に関しては全く心配ないと考えています。
ボトックスは、ボツリヌス毒素(神経毒、タンパク質)を原料として製剤されています。
毒素と聞くと、怖い薬のように思えますが、適正使用において安全性は心配いりません。
シワの治療などで用いる量はごく微量であり、健康に与える影響は無視できる範囲内です。
ただし、量や使用方法を誤った場合はその限りではありませんので、信頼できる施設で、信頼できる医師の治療を受ける必要があります。
当院で使用するボトックス製剤は、アラガン社のボトックスビスタのみです。
厚生労働省の承認を受けているボツリヌス毒素は、このボトックスビスタのみです。
ボツリヌス製剤は、他にも、いろいろな国のメーカーから販売されています。
中には、安価で不純物を多く含むものや偽造品も流通しているようなので、十分な注意が必要です。
本来「ボトックス」というのは、アラガン社の登録商標ですので、アラガン社製品のみを指しますが、ボトックス以外の製品をボトックスと呼称して使用している施設もあるようなので、確認が必要です。
Q : ボトックス治療ができない場合は?
A : 当院においてボトックスの治療をお断りしている方については以下のようになります。
- ボツリヌス毒素製剤全般に過敏症(アレルギー)を持っている方
- 妊婦・授乳婦
- 他のボツリヌス製剤で治療中の方
- 重症筋神経疾患、重症呼吸器疾患
- 閉塞隅角緑内障(緑内障の方は眼科での確認が必要です)
- 数か月以内に妊娠予定の方など
その他、ご不安なことがあれば、お問い合わせください。
Q : 妊活中でもボトックス治療は可能ですか?
A : ボトックスは治療期間中に避妊が必要とされています。
ボトックスビスタの添付文書には、以下の注意が記されています。
「妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する。」
「男性は、投与中及び最終投与後少なくとも3ヵ月は避妊する。」
したがって、いつ妊娠するか分からない状況でのボトックス治療はおすすめできません。
Q : ボトックス治療の効果はいつから出る?
A : ボトックス治療の一般的な経過は、注射後早ければ2~3日、遅くても1週間以内には効果が実感できることが多いです。
最大効果は1~2週間後で、この時点では多少違和感を強く感じることもありますが、その後効果は落ち着き、安定します。
薬効が切れるのが、3~4ヶ月後で、その後徐々に症状が再発してくることが多いです。
経過はすべて個人差があります。
目尻や口角などは、効果発現のタイミングが左右で異なることもあります。
Q : ボトックスで表情が不自然になりませんか?
A : 不自然な表情はやり方次第で回避可能です。
ボトックスは、表情筋に作用することで効果を出す治療なので、表情筋の動きに何らかの変化があるのは、治療の性質上仕方のないことです。
しかし、不自然なほど表情が固まってしまう事態は回避しなければなりません。
豊富な経験と少しのセンスがあれば、【どう打てば、どう変わるか】は予測可能です。
当院では、診察時に患者様のご希望を詳しくお聞きして、ご希望に合わせた治療を行います。
どうぞご安心ください。
Q : ボトックス後の入浴、飲酒、サウナで効果は落ちますか?
A : 治療当日のみ、入浴・飲酒・サウナ・強度の強い運動などを控えて頂ければ大丈夫だと思います。
実際、メーカーサイトには、
【注射当日は、注射部位をもむことや入浴、激しい運動などを控えさせてください。注射の翌日以降は、特に日常生活上の制限はありません。】とありますので、翌日以降、特に注意すべきことはないと思います。
根拠についてですが・・・
ボトックスを注射後、筋肉の中にどれくらいの時間留まっているかを調べた実験だと、24時間後には5%程度まで下がるそうです。
つまり、ボトックス注射24時間後には、筋肉内にボツリヌストキシン(タンパク質)として残っている薬剤はほとんどないので、それ以降は影響を受けようがないです。
では、24時間以内なら温度の影響があるのか?
ボツリヌストキシンの失活条件は80℃で30分、100℃で数分です⇒結構な高温が必要です。
平熱である36~37℃から数℃程度の温度上昇で薬効に影響が出るのでしょうか?⇒疑問です。
【入浴時の湯温は、普通42℃くらいまで、確かにお湯に浸かれば体表温度は上昇しますが、せいぜい42℃、しかも治療部位である顔まで湯船で潜水する人はかなり珍しい・・・。飲酒による血管拡張で一時的な体温上昇はあり得ると思いますが、そんな高熱にはなりませんし、その後放熱によりむしろ体温低下。サウナは、そもそも体表温度すら上がらないのでは?】
いろいろ調べましたが、明確な科学的裏付けは見つけられませんでした。
結局、入浴・飲酒・サウナ程度の温度上昇で薬効が下がる根拠はないと思うのですが、絶対大丈夫という根拠も見つからないので、メーカーさんの言うとおりにしておくのが良いと思います。
それでも心配であれば、2~3日は慎重に行動していただければ大丈夫だと思います。
Q : ボトックスと他の治療(レーザーやハイフなど)との併用は可能?
A : 基本的には可能です。
ボトックス治療は表情筋(もしくは皮膚)に作用する治療です。
他のボツリヌス毒素製剤による治療を除けば、基本的にどんな治療でも併用可能です。
ただし、治療を効果的に行うためには、治療の順序が重要になることがあります。
まず、レーザーやハイフ、高周波治療の後にボトックス治療を行う場合は、お互いの治療効果に対する影響はないと思います。
レーザー治療後などは、皮膚に炎症が起こり多少の温度上昇が考えられますが、ボトックスの
効果が下がるほど高温になることは考えにくいです。
実際、当院では他の治療後にボトックスを行うことがありますが、ボトックスの効果が下がったという経験がありません。
ボトックス治療の後に行う場合には、少し注意が必要だと思います。
入浴やサウナと違い、レーザーなどは、直接皮膚(または皮下組織)を高温にしますので、ボツリヌストキシンの活性に影響を及ぼす可能性があると思います。
前述したように、ボトックス注射24時間後には、組織内に残存するボツリヌストキシン(=薬効成分)はほとんどないことから、それ以降であれば影響はないと考えられますが、念のため治療を行う医療機関に確認するのが無難だと思います。
実際、各機器の日本語説明書によると、サーマクール(高周波のたるみ治療器)で2週間、ウルセラで1週間は空けるよう記載がありますが、根拠があるのかは分かりません。
Q : ボトックス治療後のダウンタイムは?
A : 当院のボトックスは、ダウンタイムの少ない治療です。
注射ですので、針跡・内出血などのリスクがありますが、極細の注射針を使い、特殊な注射方法で行いますので、針跡や内出血などが問題になることは、当院では滅多にありません。
通常は、レーザーなどと違い、肌の炎症も少ないので、長く続く赤みや腫れなどはありません。
極細注射針を使用しますので、洗顔やメイクは治療後1時間ほどでOKとしています。
Q : 治療時の痛みはありますか?
A : 注射なので全く無痛ではありませんが、痛みは少ないです。
クリームやシールの麻酔を使用すれば、注射時の痛みはかなり緩和されます。
極細の注射針で丁寧に優しく治療しますので、痛みは少なく、心配いりません。
どうぞご安心ください。
Q : ボトックス治療後は違和感を感じますか?
A : 治療部位にもよりますが、違和感を感じることはあります。
ボトックスは表情筋に作用します。
今まで自由に動かせていた表情筋の動きが制限されるので、つっぱり感などの違和感を感じることが多いです。
時期としては、治療後1~2週間が違和感を感じやすいです。
特にボトックス治療が初めての方は慣れていないので効果も違和感も強めに感じやすい傾向があります。
治療後2週間くらいで、効果が少し落ち着けば、慣れもあって違和感は軽減されますので、心配はいりません。
Q : ボトックスの効果持続時間はどれくらいですか?
A : ボトックス自体の効果の持続期間は3~4か月とされていますが、患者様が【効果が切れた】と感じるまでの期間には個人差があります。
6ヶ月以上効果を感じる方もいれば、2ヶ月ほどで効果が切れたと感じる方もいます。
使用する薬剤の量や、注射方法、ボトックス治療の継続状況、表情ジワの原因など、さまざまな要素が関係していると考えます。
実際に患者様が感じる持続期間は、4か月くらいが平均だと思われます。
Q : ボトックスの各部位における必要量は?
A :ボトックスビスタの添付文書によると、眉間で10~20単位、目尻両側で12~24単位となっていますが、当院の目安は以下のとおりです。
- 眉間:10単位
- 目尻~目の下:10単位
- 額:10単位
- 頬マイクロボトックス:15~20単位
- エラボトックス:片側10単位~
- 口角:5単位
ボトックスは、使用薬剤量が同じでも、注射方法により効果が違います。
当院の方法だと、上記の使用量で十分な効果が出る印象です。
大量に投与すれば、不自然な結果になりやすいですし、抗体産生などのリスクも増えます。
当院のボトックス治療は、【安全と自然さ】が最優先なので、最小限の量で治療することが重要だと考えています。
特に、初回は少なめの使用量をおすすめしています。
Q : ボトックス治療の副作用は?
A : 当院の経験では、ボトックス治療は副作用が問題になることがほとんどありません。
しかし、添付文書には、さまざまな副作用が記載されています。
どんな薬でも、少しでも可能性のある副作用を書き出すとたくさんありすぎて、ここには書きません(ご興味のある方は⇒どうぞ)。
主な副作用は、アレルギー、頭痛、痙攣、眼瞼下垂、複視、閉眼不全(角膜障害)、呼吸困難、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下などですが、この中で実際に経験があるのは、一過性の頭痛とめまいくらいです。
一過性の頭痛:額の治療後、眉毛が少し重く感じて、頭の筋肉が凝ってしまったのが原因だと思いますが、すぐに治りました。
めまい:「他院で治療後に、しばらくめまいが起きて心配だけどやりたい」とのことで、少量で慎重に治療しましたが、特に異常なしでした。
あと、どこかの先生の治療後で片側の完全なる眼瞼下垂の状態を見たことがありますが、これは薬剤の副作用ではなく、注射方法の問題だと思います。
眼瞼下垂にならないように注射すれば回避可能だと思いますし、実際に経験がありません。
ボトックス治療歴20年以上ですが、覚えているのはこれくらいの少なさです。
ほとんど心配ないと思います。
Q : ボトックス治療の失敗とは?
A : 「治療の失敗」の定義がはっきりしませんが、結果が患者様のご希望通りではなかったときに使われる言葉だと認識しています。
失敗を避けるために最も重要なのは以下だと考えています。
- 患者様のご希望をしっかり把握すること
- シワやその原因について正確に把握すること
- ボトックスの特性や効果の限界、デメリットなどについて、患者様がしっかり理解できるよう十分説明する
- 予想される結果を伝え、治療の意思を確認する
- 説明したとおりの結果になるよう、適切な治療を行う
これらがすべて行われていれば、失敗は少ないと思います。
もちろん、「客観的にも全く効果がない」、「眉尻がつり上がり、鬼の形相(スポックブロー)」、「眼瞼下垂を起こした」などは、絶対に避けたい事態です。
当院では、患者様が失敗と感じない治療を心がけています。
Q : ボトックス治療は保険適応がありますか?
A : 眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、上肢・下肢痙縮、小児脳性麻痺による尖足、原発性腋窩多汗症(重度)など、日常生活に支障がでるような疾患の場合、保険適応があります。
使用薬剤はボトックスビスタではなく、ボトックス注用50単位または100単位に限ります。
当院のように、主に美容目的でのボトックスビスタの使用に保険適応はありません。
Q : ボトックス治療の値段の違いは?
A : いろいろな違いの可能性があります。
- まず、使用している量の違いです。
多くのクリニックは、額~円、眉間~円など、治療部位の料金設定です。
1回の治療でどのくらいの薬剤の量(単位数)を使用しているのか分かりません。
量は、注射器の本数などの「見た目の量」ではありません。
見た目の量は、薬剤を希釈すればいくらでも多く見せることができます。
少なければ安くできますが、効果も少ないです。 - 次に、使用薬剤の種類です。
日本では、さまざまなボツリヌストキシン製剤が個人輸入され、使用されています。
厚労省承認薬剤はボトックスビスタのみなので、その他は未承認薬剤となります。
一般的に未承認薬剤はボトックスビスタにくらべてはるかに安価です。
未承認薬とは、国内で、品質、有効性、安全性が確認されたものではない薬剤であり、万が一健康被害が起きてしまった際にも、救済措置を受けることができません。
また、最近では、ボトックスビスタの偽造品(⇒こちら)も出回っているそうで、恐ろしい状況です。
さらに、こんなものまで・・・(⇒こちら)未承認薬の偽造品??まさにカオスです。 - あとは、注射方法にもよると思います。
とにかく時間のかからない簡単な打ち方と、マイクロボトックスのように時間も手間もかかる方法では、治療の価値が違う可能性があります。
当院では、厚生労働省承認のボトックスビスタの本物のみを、量単位の値段設定で、比較的時間も手間もかかる方法で注射しています(マイクロボトックス併用)。 - 最後に、クリニックの運営方針が、単純に【薄利多売】である場合、安いかもしれません。
何でもそうですが、特別な理由もなく高いモノもありますが、【安いには理由がある】ことが多いのではないでしょうか?
当院の値段設定は、安くも高くもない「普通」だと思っています。
Q : ボトックスが効きすぎた場合、それの効果を消す方法はありますか?
A : 残念ながら、有効な方法はないと考えます。
ある種の注射薬が有効とされていますが、効果はかなり限定的だと考えられます。
時間の経過とともに、必ず効果がなくなりますので、それを待つのが唯一確実な方法です。
Q : ボトックスで眼瞼下垂が起きた時の有効な治療法はありますか?
A : 眼瞼下垂は、眉間や額のボトックス治療で起きうる、まれな合併症です。
根本的な治療法はなく、ボトックスの効果が切れるのを待つのが現実的ですが、ボトックスの効果は必ずなくなるので、長期的な心配は必要ありません。
実際に使用したこともないので、確実とは言えませんが、対症療法として効くかもしれないのは、αアドレナリン作動薬の点眼薬です。
開眼に関わる、ミュラー筋に作用します。
ただ、現在実際に臨床で使用できるのかも分かりません。
ご興味がある方はどうぞ⇒オキシメタゾリン、RVL-1201
他には、筋肉を動かす作用のある注射薬(アセチルコリン系)が有効とされていることがありますが、効果は一時的で、確実なものではないと考えています。
私自身のボトックス治療歴は20年以上になりますが、眼瞼下垂の合併症を一度も経験したことがりません。
眼瞼下垂の原因となる上眼瞼挙筋は、まぶたの奥の方にあり、適切に注射すれば確実に避けられる合併症だと思っています。
ボトックスの合併症は予防が大切なので、信頼できる医師の治療を受けるのが重要です。
Q : ボトックスに対する抗体で効かなくなることはありますか?
A :ボトックスに対する中和抗体が産生され、効果が少なくなったり、効果が出なくなることがあるようですが、きわめて稀だと思います。
添付文書には以下の記載があります。
「本剤の投与を長期間繰り返した場合、中和抗体の産生により、効果が認められなくなることがある。」
「本剤投与後、抗体が産生されることにより、耐性が生じる可能性がある。効果の減弱がみられる場合には、抗体検査を実施する。抗体産生がみられない場合は、追加投与することができる。抗体が産生された場合には、投与を中止すること。」
抗体産生は、投与量と治療頻度に関係するとのこと。
量はできるだけ少なめに、治療間隔はきちんと3ヶ月は空けて、無駄な追加投与などをしないことが重要なようです。
ただ、20年以上ボトックス治療を行っていますが、本当に効かなくなったという方を実際に見たことがありません。
これは、美容目的で使用する薬剤が少量だからかもしれませんが、それだけ稀な状況だと思います。
Q : ボトックスが効かなかったときの追加治療は可能ですか?
A :もちろん可能です。
ただ、当院の場合、実際に追加治療が必要な状況はまれです。
1回の治療で狙った効果が出るように治療します。
薬剤・注射方法が同じであれば、1回目で効かなかった治療が2回目で効く理由がありません。
投与量が問題であるならば、1回目で必要量を使用すればよいだけです。
ボトックスビスタの添付文書には、「3ヶ月以内の再投与は避けること」と記載されています。
つまり、よほどのことがない限り追加治療はしない方がよいということです。
ボトックスが国内未承認だった時代には、輸入ルート中の管理の問題と思われる薬効のばらつきがあり、どうしても追加投与が必要になることがありました。
現在では、ボトックスビスタが承認され、国内法人がきちんと管理できる状況で、品質のばらつきもほとんどないと思われます。
Q : ボトックス治療で全く効果を感じられない場合、何が考えられますか?
A : 効果を感じられない原因はさまざまだと思います。
ボトックス治療は、即効性があり非常に分かりやすい効果が出るのが特徴です。
ただ、即効性があるといっても、注射後すぐに効果が出るわけではありません。
効果の発現は、早ければ2~3日、遅ければ1週間以上かかることもあります。
効果を感じられないのが、治療後1週間以内であれば、もう少し待つことをおすすめします。
治療後10日以上経過しても、違和感すら全く感じない場合、イレギュラーなことが起こっている可能性があるので、治療を受けた医療機関に連絡しましょう。
- 量の問題⇒単位数が少なすぎる、希釈しすぎ
- 管理の問題⇒温度や遮光・調剤法など、ボトックスは不安定で失活しやすい
- 手技の問題⇒効く部位・層に注射できていない
- 品質の問題⇒本当にボトックスか?偽造品などの可能性
- 説明不足・理解不足⇒ボトックスの効果と患者様の求めている効果が違う
以上のようなことが考えられます。
当院では、上記すべての条件に十分な配慮をしてます。
どうぞご安心ください。
Q : クリニックによって使用するボトックスの量は違いますか?
A : 使用量には、かなり差があると考えられます。
各部位ごとに使用量の目安がありますが、実際には医師の判断次第です。
通常、ボトックス治療においては、部位による料金設定がなされていますが、使用する量に関しては記載されていない場合が多いです。
つまり、少ない量を水で薄めて注射しても、多い量を注射しても1回の治療として成立してしまいます。
薬剤使用量が違えば、効果に差が出るのは言うまでもありません。
当院では、使用単位数による料金設定を行っています。
部位による料金設定を行っていませんので、ご希望の単位量をご希望の部位に分けて治療を行うこともできます。
これは、患者様にとって大きなメリットだと考えています。
Q : ボトックスリフトとは何ですか?
A : ボトックスによって、皮膚の引き締めやリフトアップ効果を出す治療です。
マイクロボトックスは、皮膚の引き締め効果が期待できます。
また、注射する部位によっては、意図的に筋肉のバランスを崩してリフトアップを図ることが可能です。
顔面の表情筋には、皮膚を持ち上げる筋肉(挙筋群:Elevators)と引き下げる筋肉(下制筋群:Depressors)があります。
下制筋群にボトックスを作用させると、挙筋群が優位になるのでリフトアップが期待できます。
下制筋は、口角下制筋や広頚筋が有名です。
Q : 額のボトックスで失敗しました。眉毛が吊り上がり、不自然な表情に。これは普通ですか?
A : 普通ではありません。
シワの原因となっている筋肉の走行、周りの筋肉との協調運動などを考慮し、正しい方法で注射すれば、避けられるリスクだと思います。
他院の治療にて上記のようになってしまった場合、修正できる場合がありますので、お気軽にご相談ください。
Q : 眉間のボトックスが効きません。どうしてですか?
A : よくあるケースで、2つの原因が考えられます。
ひとつは、本当にボトックスが効いていない場合。
もうひとつは、ボトックスは効いているが、患者様の求めている効果とは異なる場合です。
ボトックスが効いていないケース
ボトックスの量が少ないか、注射すべき筋肉に注射できていないです。
また、滅多にないですがボトックスが効きにくい体質というのもあります。
患者様の求める効果と違うケース
眉間の治療で特に多いのがこのケースです。
治療を担当する医師の認識不足や説明不足が多いようです。
患者様は、眉間のシワが消える(なくなる)と思い、治療します。
でも、ボトックスはシワの原因になる筋肉を弛緩させるだけです。
無表情時でも深く刻み込まれたシワは、ボトックスでは消すことはできません
⇒効いていないということになります。
患者様の求めている効果を把握して、十分に説明し、理解を得てから治療することが重要です。
Q : ボトックスで色素沈着が起こることはありますか?
A : ボトックスの直接的な作用で色素沈着が起きることは考えにくいです。
ボトックスのような注射の治療で色素沈着が起きる場合は、注射後の日焼けが関係している場合が多いです。
ボトックスの治療後、まだ針跡が赤かったり、内出血が残っている状態で、日焼けをすることにより、注射部位が色素沈着を起こす可能性はあります。
Q : フェイスラインのもたつきに対してボトックスは有効ですか?
A : 小顔ボトックス(エラボトックス+頬マイクロボトックス)が有効です。
ボトックスを咬筋(噛む筋肉:エラの部分)と頬全体の皮膚に細かく注射(マイクロボトックス)します。
咬筋は時間とともに委縮しボリュームダウンしますので、頬下部の横への張り出しが少なくなります。
これだけでは、皮膚が余って下がってしまうので、頬の皮膚全体にボトックスを注射することにより、皮膚の引き締めを行います。
比較的即効性のある治療ですので、「手術はしたくない」「1回の治療で効果を実感したい」という方には人気の治療です。
Q : 目の下へのボトックスで、まぶたの外反(アッカンベー)になることはありますか?
A : 目の下のボトックス治療(小じわの改善や目を大きく見せるため)を行った場合に、「あっかんべー」になってしまうことは、理論上は考えられます。
下まぶたは、眼輪筋の緊張などによって眼球に密着しています。
ボトックスが強く作用し、眼輪筋の緊張が極端に失われてしまえば、下まぶたが重力によって引っ張られてしまい、眼球から浮いてしまう可能性があるからです。
こうなると、眼球が乾き、ドライアイの症状が出ることが予想されます。
ただし、よほどのことをしない限り、実際にこのような状況になることは稀だと思います。
当院では、浅い層に少量ずつ細かく注射する方法を採っています(マイクロボトックス)。
この方法で、「あっかんべー」になった経験はありません。
Q : 口角を上げるボトックスの副作用は?
A : 口角の位置は、口角を上げる筋肉と口角を下げる筋肉のバランスで決まります。
口角を上げるボトックスは、口角を下げる筋肉(口角下制筋)に少量のボトックスを注射することにより、口角を上げる筋肉が優勢になり、口角が上がるものです。
副作用として考えられるのは、左右差や違和感、口の運動障害です。
同じ位置・深さに同量のボトックスを注射しても、効果が同じとは限りません。
また左右で効果の出るタイミングが違う場合もあります。
口角は他の部位と比べて、左右差が目立ちやすい部位です。
左右差は、修正治療である程度は改善させることができます。
違和感は、ボトックスが強く作用しすぎたときに感じます。
口は、「食べる」「話す」など、とても繊細な動きをしています。
そのため、ボトックスが強く効いた場合、違和感を感じやすいです。
違和感が強くならない程度の作用に抑えなければなりません。
運動障害は、ターゲット以外の筋肉にも効いてしまった場合に起こると考えられます。
口角付近には、たくさんの異なる作用を持つ筋肉が集まっています。
注射の位置を誤ったり、注射する量が多いと、口角下制筋以外の筋肉も弛緩します。
口の動きのバランスが崩れますので、話しづらい、口が曲がる、水を飲むとこぼれる、などが起きる可能性があります。
このようなことが起きないよう、控えめな治療が求められます。
Q : 額のボトックスで眉を上げる癖は治る?
A : 額のシワは眉を上げることにより起こります。
これは単なる癖の場合もありますが、多くはまぶたに原因があります。
眼瞼下垂や皮膚下垂により、視界が狭くなるような状況では、無意識に目を見開こうとして眉を上げてしまうのです。
シワが単なる癖の場合、治ってしまうこともありますが、まぶたが原因の場合は、ボトックスの効果が切れると、シワも再発することが多いです。
ボトックスは額のシワに対する対症療法であり、根本的原因であるまぶたの状態が変わっていないからです。
Q : 眉尻のしわに有効な治療法は?
A : 眉尻の上部にできるシワは前頭筋(眉を上げる筋肉)の収縮によるものが多いです。
重度の眼瞼下垂や眉毛下垂がなければ、ボトックスの適応となります。
額のボトックス治療の後に現れた場合は、治療が原因になっている可能性があります。
治療時期を考えて、ボトックス治療で修正します。
ボトックス治療してもなお気になる場合は、ヒアルロン酸注入も考えます。
マイクロボトックスでよくある質問(FAQ)
Q : 痛みは強いですか?
A : 皮膚に対しては、表面麻酔が強力に効きます。
また、特殊な極細注射針を使用し、優しく治療しますので、痛みはそれほど心配ありません。
「思ったほど痛くなかった!」治療後の多くの患者様の感想です。ご安心ください。
Q : 腫れや内出血などのダウンタイムはありますか?
A : ダウンタイムはほとんどありません。
注射の打ち方により、治療後の腫れや内出血は全く違ってきます。
当院では、院長が正確かつ丁寧に治療しますので、患者様が困るような腫れや内出血が起きる可能性はとても少ないです。
また、治療後1時間でメイクも可能です。 ご安心ください。
Q : 表情が固まったり不自然にはなりませんか?
A : 適切な方法で治療する限り、不自然になることは少ないです。
特に、マイクロボトックスの場合、表情筋の深い層に強く効かせないよう皮膚に少量ずつ注入するので自然な仕上がりが期待できます。
Q : 効果の強さは調節できますか?
A : 調節可能です。
効果の強さは、ボトックスの量と深さで調節します。多めに深く注射し、しっかり効かせることもできますし、あくまで自然な仕上がりにすることも可能です。
治療前にしっかりご要望を聞かせていただきます。
Q : フェイスラインの改善以外の効果は?
A : ボトックスは皮膚へのさまざまな効果が知られています。
ボトックスを皮膚に注射することにより、さまざまな効果が知られており、次のような効果が期待できます。
- お肌の引き締め効果(コラーゲン生成)
- 小じわ改善効果(表情筋の表層に作用)
- 汗や皮脂腺分泌の減少効果(ニキビや吹き出物ができにくくなる)
- 肌理を整える効果
- 毛穴の縮小効果
Q : 治療後メイクはできますか?
A : 通常は、治療1時間後からメイク可能としています。
極細の注射針を使用していますので、針穴が塞がるのが早いためです。
Q : マイクロボトックスとメソボトックスの違いは?
A : 同じ方法です。
マイクロボトックスの名称は、“mesobotox”⇒“microbotox”⇒“microtoxin treatment”と時代とともに変化しています。microtoxin treatmentに対応する日本語はないので、当院では“マイクロボトックス”としています。
“ボトックス”はアラガン社の登録商標なので、アラガン社製ボツリヌストキシン製剤を使用している場合にのみ使用が認められる名称ですが、アラガン社以外の薬剤を使用していても“ボトックス”という名称を使用している場合がありますので注意が必要です。
当院では、アラガン社のボトックスビスタのみを使用しています。
Q : マイクロボトックスとボトックスリフトの違いは?
A : ボトックスリフトは、表情筋の中でも下制筋(下に引っ張る筋肉)にボトックスを作用させ、意図的に表情筋間の均衡を挙筋(上に引っ張る筋肉)優位にしてリフトアップを図る方法だと認識しています。
マイクロボトックスの手法に限らず、広頚筋や口角下制筋などにボトックスを作用させた場合が該当すると考えています。
Q : マイクロボトックスは通常のボトックスとは別の料金が必要ですか?
A : 別料金は必要ありません。
当院でのボトックス治療は、使用する量による料金体系のみです。
使用する量が決まれば、ご希望に応じてマイクロボトックスを併用いたします。
マイクロボトックスをご希望されても別料金を頂くことはございません。
※ほとんどのクリニックでは、マイクロボトックスは、通常のボトックスとは別の料金体系が存在します。手法が難しく、時間も手間もかかるからだと考えられます。
Q : マイクロボトックスはどこでも注射できますか?
A : 避けた方がよい部位もあります。
マイクロボトックスは、ボトックスを皮膚と表情筋の浅い層にのみ作用させる方法です。
皮下組織が極端に薄く、表情筋が皮下のごく浅い部分に存在するような部位では、皮膚の表面に対する注射でも、表情筋全体に強く効いてしまう可能性があります。
効かせたくない表情筋に効いてしまう可能性が高い部位は、治療を避けます。
Q : マイクロボトックスは、通常のボトックス同様の即効性はありますか?
A : 即効性がありますが、通常のボトックス治療よりはゆっくりの印象です。
それでも早い方では、治療後1週間ほどでお肌の違いを感じます。
通常のボトックス治療は、治療後1~2週間くらいが最大効果発現時期ですが、マイクロボトックスの場合は、じわじわと徐々に効果が出てくることが多いです。
これは、それぞれの効果の作用機序の違いによるものだと思われます。
Q : ノーニードルメソセラピー(エレクトロポレーション)やダーマペン、水光注射(機械式インジェクター)などでも、マイクロボトックスと同様の効果を得ることは可能ですか?
A : 不可能だと考えています。
注射以外の方法でも、皮膚の中にボトックスを“微量”浸透させることは可能だと思いますが、手打ち注射以外の方法では、注入効率がとても悪くなると考えます。
つまり、使用した薬剤の量に対して、実際に真皮に入った薬剤の量はとても少なくなる⇒効果も少なくなるということです。
マイクロボトックスで大切なのは、薬剤を「狙った深さに適切な量を確実に届けること」。
手打ちの注射以外の方法では、これを成し遂げるのは不可能だと思います。
理由はたくさんあります(⇒どうしても知りたい方は診察にご来院を!)。
注射以外の方法で、効果を実感できなかった方は、是非手打ち注射の方法を試されることをおすすめします。
Q : ボトックスにもいろいろ種類があると聞いたのですが?
A : ボトックスと呼べるのは、アラガン社の製品だけです。
アラガン社以外のメーカーから、多くの種類のボツリヌストキシン製剤が出ています。
それぞれ、いろんな謳い文句で発売されていますが、現在のところ、アラガン社のボトックスを超えるものではないと考えています。
日本では、アラガン社のボトックスビスタが厚生労働省から承認されている唯一の製品です。当院では、ボトックスビスタ以外の薬剤は使用しません。
Q : マイクロボトックスでも数か月の治療間隔が必要ですか?
A : 当院では3か月の治療間隔を基本としています。
ボトックスの治療間隔に関しては、考え方の違いにより医療機関ごとに異なる場合があるようです。
ボトックス治療において、適切な治療間隔が必要なのは、交差抗体(ボトックスに対する免疫反応)の問題によると思われます。
このことに基づけば、マイクロボトックスにおいても同様の治療間隔が必要だと考えています。
Q : 頬にマイクロボトックスをして逆にたるむことはありますか?
A : マイクロボトックスが原因で皮膚がたるむことは考えにくいです。
マイクロボトックスの効果のひとつが皮膚の引き締めです。
ただし、治療が正しく行われなかった場合は、皮膚がたるんで見える可能性もあります。
特に頬は、重力に逆らって皮膚を持ち上げる表情筋(levator)がたくさんありますので、注射の深さや量を誤り、これらの筋肉に強く効かせてしまえば、皮膚が下がってたるんでしまうことも考えられます。
Q : 額のマイクロボトックスで下垂は起きやすいですか?
A : 額のボトックス治療で、眉毛下垂があります(眼瞼下垂は非常に稀)。
眉毛下垂とは、目の開きは変わらないが眉毛が下がること、眼瞼下垂とは目の開きが悪くなることです。
前頭筋に強く効きすぎた状態が眉毛下垂で、前頭筋に効かせるはずが、眼瞼挙筋に効いてしまった状態が眼瞼下垂です。
マイクロボトックスとは、ボトックスを通常よりも浅い皮膚層に細かく注射する方法です。
皮膚の浅い層からじんわりと浸透するので、前頭筋にも効くのですが、筋肉に直接注射するよりマイルドな効きになるので、より自然な結果になりやすいです。
通常は、眼瞼挙筋には効きません。
したがって、通常の方法に比べて下垂の合併症は起きにくいです。