ADM(後天性真皮メラノサイトーシス、遅発性太田母斑様色素斑)の治療
「肝斑だと診断され、トラネキサム酸を何年も飲んでいるけど全く効果なし…」
「肝斑だと診断され、ピコトーニングを20回も受けたけど効果なし…」
「ソバカスと診断され、光治療の5回コースで取れる言われたが薄くもならない…」
それ、本当に肝斑やソバカスですか???
全く改善がないので、医師やクリニックスタッフに強く訴えると、やっと「ADMかもしれません、当院では治療できないので、強いレーザーがあるクリニックで診てもらってください」と言われるそうです。
または、「ADMと診断され、Qスイッチやピコレーザーをやっているけど、全く効果なし」というのもあります。
当院にご来院されるADMの患者様は、このどれかに該当する場合が多いです。
実際には、ピコレーザーやQスイッチレーザーを所有しているクリニックでも、「ADMは対応できない」と言われることも多いようです。
確かにADMの治療は、考えられるリスクも多く、きれいに治すには、かなりの経験が必要かもしれません。
他院で治療後のご相談で、治療間隔が短かったのか、治療部位がまだらに瘢痕化したり、白斑化した気の毒な例も何度か見たことがあります。
どちらも治療困難なので、そうならないような慎重な治療が必要です。
当院では、ADMの治療をとても得意としております。
肝斑合併例で、他院で断られた方でも何とかなることが多いです。
どうぞお気軽にご相談ください。
目次
ADMは治療価値がとても高い!
皆さんがシミだと思うものには、さまざまな種類があります。
老人性色素斑、ソバカス、脂漏性角化症、扁平母斑、扁平苔癬様角化症、ほくろ、ニキビ跡などの炎症後色素沈着など…そしてADM。
これらの中で、もっとも治療価値が高いと思うのは、ADMです。
その理由は以下の通りです。
- 目立つ⇒ADMは色調が独特でファンデーションやコンシーラーでも隠すのが難しく、塗ることで逆に目立ってしまう厄介な色素斑で、消えたときの効果がとても大きいです。
- 比較的若い頃から発生する⇒若いと10代後半から発生するので、老化で発生するタイプに比べると、悩みの期間が長いです。その分、消えたときの喜びもひとしおです。
- 再発がない⇒ADM以外のシミは、老化がひとつの原因なので、治療しても再発の可能性があります。長年ADM治療に携わっていますが、ADMの再発を経験したことがありません。
- 効果が確実⇒ほかのシミ治療と異なり、色素沈着も残りにくく、適切に治療を行えば比較的確実に消すことができると思います。
- 当院で治療された多くの方が、「早くやればよかった!」と仰います。
ADM治療実例
※写真はすべてiPod touch 7thで撮影し、画像加工や修正などは一切していません。
ADMビフォーアフター(Qスイッチルビーレーザー3回治療後)
ADMに対するQスイッチルビーレーザーのビフォーアフターです。
6か月以上の治療間隔で、合計3回治療を行いました。
治療前には、ADMとソバカス様色素斑が広範囲に散在しています。
これらを明確に区別するのは難しいので、できる限りすべて照射します。
(明らかなホクロやニキビ跡は除く)
薄くて見えにくいものまで、できる限り照射するため、照射回数が数百発以上に及ぶことも珍しくないです。
このような照射方法は、ADMやシミが消えるだけでなく、肌の若返り効果が期待できます。
上の写真でも、肌の透明感やハリ、ツヤの改善などの効果が一目瞭然です。
透明感があり、滑らかな艶肌になりました!
※アフターの写真は3回目治療の2か月後で、うっすらADM様の色素が見えますが、時間の経過とともにさらに薄くなります。ADMは真皮に存在する色素斑のため、レーザーによって破壊された色素が4~5か月かけて処理され、薄くなることが多いです。個人差がありますが、4回目の治療が必要になることは少ないです。
治療するごとに薄くなるADM
ADMの治療経過です。
治療するたびに、少しづつ色調が薄くなっています。
色の減り方は人によりさまざまです。
1回、2回と段階的に薄くなる方が多いですが、1回目で大幅に薄くなる方、1回目、2回目では少ししか薄くならなかったのに3回目でほとんど見えなくなる方もいます。
推測ですが、真皮内の色素細胞の分布によるのだと思います。
ADMの場合は、ほとんどが複数回の治療を必要とします。
1回目で完全に消えてしまう方は、ADMに似た老人性色素斑やソバカスなのかもしれません。
ADMとは?特徴は?
ADMは、後天性真皮メラノサイトーシス(Acquired Dermal Melanocytosis)の略です。
名前がとても長くて分かりにくいので、略してADM(エーディーエム)と呼ばれています。
太田母斑に似ていたことから、遅発性両側性太田母斑様色素斑(ABNOM)と呼ばれることもあります(実際にはまったく似ていませんが…⇒太田母斑は普通片側性です)。
明らかな原因は不明ですが、通常はシミが存在しない皮膚の深い部分(真皮)に、色素沈着と色素細胞が見られるため、「アザ」と呼ばれることもあります。
頬上部に左右対称に出現することにより、好発部位が似ている肝斑やソバカスと間違われているケースをよく見ます。
似ているとされる「太田母斑」と間違えられるケースは見たことがありません。
典型的なADMであれば、肝斑やソバカスとの違いは、「一目で、一瞬で分かる」ほど明らかです。
ADMを長年診ていると、典型的でないものでも、出現年齢、色調、形、分布などで、なんとなく分かることが多いです。
ただ、密集したソバカスや老人性色素斑があると、ADMの存在が見えないこともあります。
ソバカスや老人性色素斑は表皮にあるため、真皮にあるADMを覆ってしまうからです。
この場合は、一度Qスイッチルビーレーザーで治療するとADMだけが残りますので、その時点でADMの存在が分かります。
【ADMの出現年齢】
ADMの多くは、10代後半~20歳前後に出現します。
ソバカスは幼少期から、老人性色素斑や肝斑は20代後半から、太田母斑は思春期くらいから出現します ので、他のシミやアザと発生時期が若干異なります。
【ADMの色調について】シミやソバカス、肝斑は茶褐色(明るい茶色)に見えます。
これに対して、ADMはくすんだ(彩度の低い)色調の場合が多いです。
明るい茶色ではなく、グレー~若干青みを帯びた独特の褐色をしていることがほとんどです。
これはメラニン色素の存在する層が深いことを表しています。
この特徴はファンデーションを塗ったときに特に強調されるようです。
「素肌だと褐色のしみに見えるが、お化粧するとグレー~紫っぽく見える」 このような場合、ADMの可能性が高いと言えます。
【ADMの形・分布について】
ADMの好発部位と特徴、肝斑やソバカスとの鑑別
- 頬上部の外側:ADMの一番の好発部位。斑点状。好発部位が同じである肝斑は、帯状~地図状。発症年齢や色調(彩度)など総合的に判断して鑑別する。肝斑と合併することもある。
- 鼻翼部:斑点状。
- 目の下:斑点状~融合して帯状。色素沈着や血行不良、影グマなどと間違われるが、ダーモスコープでよく観察すれば見分けが付く。
- コメカミ~額外側部:斑点状~地図状。額の肝斑との鑑別必要。肝斑は額中央部に比較的明るい地図状色素沈着として現れることが多いので、額の両サイドに出るADMとの鑑別は簡単。
- 鼻背部:地図状。肝斑との鑑別難しい。色調や、他の部位のADMの存在などを見て判断。
- 上記は通常すべて両側性
- ソバカスは、小さな斑点状であり、頬上部~鼻にかけて均等に拡がった分布(ADMは外側優位)。ADMの方が色調の彩度は低いが、見分けが難しい場合もあり。
- 一度だけ、両側の手のひらにADMと思われる病変を診察したことがあります。



ADM治療では診断がとても大切です!
ADMの治療では、診断がとても重要になります。
ADMに有効な治療は、今のところQスイッチレーザーかピコレーザーのみです。
ちなみに、Qスイッチやピコでも、トーニング治療では全然不十分です。
スポット的に照射して、ダウンタイムがあるモードだけが、ADMに有効です。
ADMとよく間違われる疾患は、肝斑、老人性色素斑、ソバカスです。
本物の肝斑には、Qスイッチレーザーもピコレーザーも禁忌とされ、一般的にはトーニング治療を勧められるようです。
老人性色素斑やソバカスに有効な光治療(IPL:フォト~)は、ADM自体には無効です。
つまり、診断を間違えると、ADMには効果がない治療をすることになります。
しかも、トーニングも光治療も複数回の治療が必要と説明され、コース契約させられるケースがあり、患者様にとってはちょっと気の毒な状況をよく見ます。
老人性色素斑やソバカスと診断され、Qスイッチレーザーやピコレーザーで治療された場合には、ADMにも有効なので、一歩前進する可能性があります。
ただ、ADMは真皮にあるので、表皮性のシミとは見え方が異なり、照射の狙い方も若干異なります。
つまり、老人性色素斑やソバカスとADMが混在していた場合には、少しでもADMを想定した照射をしているかで効果が違ってくるということです。
ADMの治療は、ADMに精通したクリニックで受けることが重要だと思います。
肝斑と診断されるADM
ADMは好発部位が似ていることから、よく肝斑と間違われます。
典型的なADMに対して、何年もトラネキサム酸を内服していたり、延々とフォトなどの光治療(IPL)やレーザートーニングなどの肝斑治療をされている例を、本当に頻繁に目にします。
これらの治療は、ADMにとってはほとんど無効ですので、患者様がとても気の毒です。
確かに、好発部位は似ていますが、発症年齢も違いますし、何より見た目(形・色調)が全く異なります。
シミの診療に慣れていれば、ADMを見分けるのはとても簡単です。
ADMは肝斑と合併している例も多いですが、このような場合でも注意深い観察と丁寧な問診をすることで、診断はそれほど難しくないことがほとんどです。
目の下のクマに見えるADMも意外と盲点!
ADMの一番の好発部位は、両側頬上部の外側です。
ただし、意外と多いのが、目の下のクマの部位です。
この部分は、眼窩縁にあたり、凹んでいるだけでなく、通常でも若干色素沈着を起こしている場合が多く、くすんで見えますが、この部位にADMが好発します。
ここにADMがあると、目の下のクマがよりくすんで目立って見えます。
この部位は意外と盲点のようで、ADMの診療に慣れているであろう医師でも見逃している例をよく見かけます。
- いわゆる「影ぐま」と診断されヒアルロン酸を注入されている例
- 色素沈着に対してハイドロキノンなどの美白剤を使用されている例
- 毛細血管拡張だと診断され、色素レーザーで治療されている例
- 血行不良だと言われ、マッサージを指導された・・・
それぞれのメリット(デメリット?)があると思うのですが、クマが目立つ原因がADMの場合、Qスイッチレーザーやピコレーザー以外はすべて無効になりますので、診断がとても大切です。
当院のADM治療の特徴は?
【もっと早く治療すればよかった!】
ADMの治療が完了したとき、たいていの患者様が抱かれる感想です。
それくらい、ADMの治療満足度は、他の色素性疾患に比べても、とても高いといえます。
なぜなら、治療の確実性が極めて高く、通常は再発もないからです。
つまり、一度取れたら取れたっきり、もう一生ADMに悩まされる可能性はゼロに近いのです。
ADMに最適な治療法は、Qスイッチレーザーです。
フォトなどの光治療(IPL)や他のマイルドなレーザー治療(レーザートーニングなど)は、ADMそのものには通常無効です。
皮膚の深い部分(真皮)に存在するメラニンを確実に破壊できるパワーはないからです。
当院では、Qスイッチレーザーの中でも、メラニン色素に対して最も選択性の高いQスイッチルビーレーザーを使用して治療を行います。
当院のADM治療の特徴を以下に示します。
治療間隔を6か月以上としています
理由は以下の通りです。
- Qスイッチレーザー後は、表皮に炎症後色素沈着(PIH)が起こる可能性があります。PIHが消えるまでの期間は、一般的には3~4か月とされています。PIHが残っている状態で照射しても、表皮のPIHに反応していまい、真皮のADMには届きにくいです。PIHに照射することで、さらなるPIHを起こす可能性があり、悪循環に陥ります。
- 表皮のシミと異なり、真皮内で破壊されたメラニンが処理されるのは遅く、3~4ヶ月かかる場合があります。つまり、治療後にADMが薄くなるのには時間がかかるのです。処理前のメラニンが残っている状態で照射しても、ターゲットのADMには届きにくく、非効率的です。
- リスクを避けるためです。Qスイッチルビーレーザーは強いレーザーです。短期間の間に再照射することで、炎症後色素沈着や白斑化、瘢痕化のリスクが増える可能性があります。
以上、まとめると治療間隔を長く取るのは、【治療効率が悪くなり、より多くの治療回数がかかるのと、回避可能なリスクを避けるため】です。
シミやアザをきれいに消すには、「いかに少ないダメージで効率よく色素を破壊するか」が重要です。
“急がば回れ”と言いますが、治療間隔を十分に取った方が、ダメージも少なく、きれいになるまでの期間は短いと感じます。
最小限の治療回数での治療完了を目指します
ADMの場合、Qスイッチルビーレーザーを用いても、1回の治療のみでは除去しきれないことが多いです。
表皮内のシミであれば、1回の治療で除去できるQスイッチルビーレーザーでも、厚みのある真皮に存在するADMに対しては、1回の治療だけでは除去しきれないのです(上図参照)。
前述したように、治療間隔を長めに取り、炎症後色素沈着の管理を徹底することで、治療効率を最大限にします。
その結果、最小限の治療回数で治療を完了することができるのです。
治療回数は、通常2~3回ですが、稀に4回必要になることもあります。
“ADMが消えた”以上の美肌を目指します
ADM治療は、ADMならではの難しさがあります。
当院では、ADM治療の問題点をしっかり把握し、それに対するさまざまな工夫で、“ADMが消えた以上の美肌”を目指す治療を行っています。
- ADMは深い層にあるため、形がぼんやりして見えにくく、レーザーの正確な照射が難しいです。特に、シミ・ソバカスと混在している場合や、色素が少ないものは、存在自体が見逃されやすいです。治療を重ねて、色調が薄くなればなるほど、見つけるのも、正確に照射するのも難しくなります。
⇒見えにくいADMを見つけるには、ADM治療経験の多さが力を発揮します。また、治療時の照明や、レーザー用ゴーグルの選定に至るまで、ADMを見つける最大限の工夫をしています。 - 老人性色素斑やソバカスは表層にあり、レーザーの反応が見やすいため、照射エネルギー調整が容易です。ADMは深層にあり、反応が見えにくいので、最適な照射エネルギー調整が難しいです。照射エネルギーが高すぎれば、白斑化などのリスクが出やすく、低すぎれば効果がなくなります。
⇒豊富なADM経験により、常に最適な照射エネルギーで治療を行います。 - ADMが除去できても、シミ・ソバカスが残っていれば、“シミっぽさ”は解消されませんし、ADMだけが取れた状態は色むらになりバランスが悪いです。薄くて見えにくいシミや、ピンポイントで狙いにくい細かいシミまで全体的に解消されて、はじめて“透明感のある艶肌”を実現できます。当院では、治療範囲内にあるものは、薄いものや細かいものまで徹底的に照射します(下の写真参照)。結果的に、1回の治療で、照射数が2~300発以上になることも珍しくありません(ソバカスなどが合併して治療範囲が頬全体に渡る場合は、1000発を超えることもあります)。
治療直後の状態です。当院のADM治療は、目立つADMを何カ所か照射するだけの普通の治療ではありません。ADM・シミ・ソバカスは、薄いもの、細かいものまで徹底的に照射します。薄いADMまで照射することで、真皮層が広範囲にわたり活性化され、明らかに肌質が改善されます。シミがないだけでなく、透明感とハリのある滑らかな艶肌を目指します!
肝斑が合併していても治療可能な場合が多い!
ADMに有効なQスイッチルビーレーザーは、肝斑に対しては禁忌とされています。
したがって、肝斑を合併するADMの治療は、一般的に難しいとされ、ADMに無効である光治療やレーザートーニングでお茶を濁されます。
肝斑が合併していても、ADMの治療にはQスイッチルビーレーザーが必要です。
確かに、肝斑が合併していない場合の治療と比べると、炎症後色素沈着(戻りシミ)や白斑化(白抜け)のリスクが高くなると思われます。
より注意深く正確なレーザー照射や、治療前後の肝斑の管理が必要にはなりますが、不可能ではありません。
当院では、ADMの肝斑合併例の治療経験が豊富です。
何とかなることが多いので、あきらめる必要はないと考えます。
また、他院で“肝斑が合併している”と言われていても、実際に診察すると肝斑と診断されていたものが肝斑ではないこともとても多いです。
ぜひ、一度当院にご相談ください!
ADM治療の概要
- 使用する治療機器:Qスイッチルビーレーザー(The Ruby nano-Q:JMEC製)
- 治療回数:2~3回で完了することが多いです(まれに4回)
- 治療間隔:6ヶ月以上(当院の治療方法の場合)
- ダウンタイム:治療直後の赤みは1~2日。カサブタが取れるまでに平均で1週間、早い方は5日、遅い方は10日以上かかることもあります。ADMの性質上、特に2回目以降の治療では、明確なカサブタができないこともあります。
- 治療後の処置:シール保護、もしくはワセリン保護します。外からの刺激やカサブタが乾燥しすぎるのを防ぎます。最近では、カサブタに塗布する、専用のファンデーションもあります。部分的な治療で、治療範囲が狭い場合はシール、その他はワセリンを使用する場合が多いです。
- 炎症後色素沈着:出ないことも多いです。
- メイク可能な時期:カサブタが取れればOKとしてます。
- アフターケア:当院では炎症後色素沈着を予防するための外用薬を3~4ヶ月程度使用することが多いです。
※治療後の処置方法やアフターケアなどは、ご希望やライフスタイルによってフレキシブルに変更可能です。
メリット・デメリットを説明させていただき、最終的には患者様とよく相談して決めます。
Qスイッチルビーレーザーとピコレーザー、どっちが効く?
「どのレーザーが一番効きますか?」
患者様に良く聞かれる質問です。
これに対しては、「シミ取りレーザーであれば、種類はあまり気にしなくてもよいと思います」と答えることが多いです。
レーザー治療が効くか効かないかに、機器の種類はあまり重要ではないと思っています。
レーザー治療の効果に関わる重要な要素は・・・
- きちんとメンテナンスを受けて、適正な出力が出る機器を使っているか?
⇒シミ取りレーザーの場合は特に重要です。Qスイッチルビーレーザーもピコレーザーも、使っている間に出力が落ちていきます。適正な出力を維持するには、割と頻繁なメンテナンスが必要です。いくら照射しても、出力の出ていない機器では“照射しているフリ”であり、効果は望めません。 - 熟練した医師が治療を施術しているか?
⇒レーザーは自動で治療してくれるわけではありません。シミの状態を正確に把握し、適切な反応を出してはじめて効果が出ます。強すぎれば、色素沈着や瘢痕化、白斑などのリスクが増えますし、弱すぎれば効果がありません。特に、ADMのように何度も治療を繰り返す場合、リスクが出やすいので注意が必要です。ちょうど良い反応を出す匙加減が重要なのです。
これらの条件が同時に満たされて効果が出ます。
つまり、「まともな機器をまともな人が打てば効く」ので、機器の種類は重要ではないのです。
※もちろん、シミ取りレーザー以外の機器(フォト~などの光治療やピコトーニングなど)では、いくら熟練した施術者でも効果を出すのは難しいです。
以下に、考えられるQスイッチルビーレーザーとピコレーザーの違いを記しますが、違いは大きくないと思います。
- 色素性病変に照射したときの反応の見え方
⇒Qスイッチルビーレーザーの方が、はっきりとした反応が見えるので、出力調整がしやすいと思います。 - 色素性病変に対する効果の違い
⇒少し厚みのある普通のシミ(老人性色素斑、脂漏性角化症)に対する効果は、Qスイッチルビーレーザーの方が確実だと思います。ピコレーザーはもともと刺青除去用レーザーなので、刺青に対しては有利です。ADMに対しては、あまり変わらないと思います。 - 炎症後色素沈着の違い
⇒一般的に、“ピコレーザーの方が炎症後色素沈着しにくい”と言われていますが、当院で治療する場合は、あまり気にしなくてもよいと思います。照射方法のせいか、アフターケアの外用薬が効いているのかは、はっきりしませんが、実際に炎症後色素沈着で困ることは少ないです。
(Qスイッチルビー、ピコどちらも扱うメーカーさん曰く、最近Qスイッチルビーへの回帰の流れが加速しているとのことです・・・当院では刺青の治療を行わないので、Qスイッチルビーばかり購入しています)
レーザーなどの治療機器は、「板前さんの包丁のようなもの」です。
美味しいお寿司を食べにお店を選ぶ際に、板前さんが使っている包丁の種類を気にする人は少ないと思います。
ネタが新鮮であることは前提として、「メンテが行き届いたよく切れる包丁を熟練の板前さんが使えば」美味しいお寿司になるでしょう。
いくらよく切れる包丁でも、修行をしたことがない私が使えば・・・結果は明らかです。
熟練の板前さんでも、よく切れない包丁では難しそうですが、なんとかしてくれそうです。
ただ、熟練の板前さんは包丁の切れ味に敏感なので、頻繁に研いでベストな状態を維持するはずです。
包丁の切れ味に鈍感な私は、研磨の必要性すら感じることが出来ません。
ADM治療で肌がきれいに若返る?
ADMの治療は、文字通り“ADMを除去する”治療です。
しかし、実際にはADMが消えた以上の美肌効果が出る場合があります。
先に挙げた症例写真でも、なんとなく分かるかもしれませんが、ADMが消えただけではなく、明らかに肌の透明感が増し、ハリやツヤも出ています。
状況によっては、小ジワやちりめんジワが改善するかもしれません。
当院のADM治療では、この効果を狙った照射方法を行います。
具体的には、“ADM以外のもの”、“細かいもの~薄いもの”まで、とにかくできる限り全部照射する。
つまり普通では見えにくいものまで、なんとか見つけて照射します(いろいろ工夫してます)。
だから、やたらと照射数が多いです。
メラニン色素にQスイッチルビーレーザーを照射すれば、そこで熱と衝撃波のエネルギーが発生します。
特に、ADMが存在する真皮にこれらのエネルギーが何度も作用することで、肌の若返り効果が期待できます。
このような治療方法のきっかけになったエピソードです。
昔、ご年配の女性の“本物の太田母斑”の治療を担当しました。
その方の太田母斑は、右側の目の下~頬にかけて存在していました(太田母斑なので片側性です)。
独特の青みがかった褐色で、色調も濃かったので、かなり目立つ状態でした。
幼少期よりずっと悩んで、50年以上もコンシーラーやカバーマークで右頬を隠してきたとのことでした。
治療前は、「顔の右半分が大嫌い」と仰っておられました。
太田母斑なので、Qスイッチルビーレーザーで除去可能です。
治療を行う毎に色はどんどん薄くなりましたが、それと同時に明らかな肌質の変化が見られました。
肌の透明感だけでなく、ハリが出てキメが整いツヤツヤの肌に。
太田母斑が見えなくなる頃には、元々あった小ジワやちりめんジワがほとんどなくなり、長年連れ添ったコンシーラーも不要となり、「今は右側の顔が方が好き」と仰って頂き、大変喜んでもらえました。
肌の白さ、透明感、ハリ、ツヤ、シワの少なさ、どれをとっても圧倒的に右側の方がきれいになったのでした。
「先生、左側も同じようにできませんか?」・・・。
太田母斑とADMでは、色素の分布や必要な治療回数が違いますので、ここまでの変化が難しいですが、意識して治療することで、かなり改善されることが多いです!
ADMにフォトシルクプラスは有効か?
フォトシルクプラスなどの光治療(IPL)は、表皮の色素性病変を対象に設計されているため、真皮性であるADMそのものには無効だと考えられます。
したがって、ADMを消すために延々とフォトシルクプラスをするのは、あまり意味がありません。
ただし、状態によっては、ADMのQスイッチルビーレーザー治療前のフォトシルクプラスが有効な場合があります。
ADMが単独で存在していることは少なく、老人性色素斑やソバカス、くすみなど表皮の色素性病変を合併していることが多いです。
これらの表在性のシミを、フォトシルクプラスである程度薄くすることで、真皮にあるADMが見やすくなります。
また、フォトシルクプラスを事前に併用することは、Qスイッチルビーレーザーの治療効率を上げることにも役立ちます。
Qスイッチルビーレーザーはメラニン色素に反応します。
表皮にたくさんのメラニン色素があれば、レーザーはそこで反応してエネルギーを使ってしまい、真皮にある肝心のADMに反応しにくくなります。
真皮性の病変にQスイッチルビーレーザーを照射する場合、表皮のメラニン色素は少ない方がいいのは明らかです。
ADMは健康保険で治療できるのか?
当院では、ADM治療は、自費診療とさせていただいております。
その理由は以下の通りです。
【Qスイッチルビーレーザーの適応病名は、「扁平母斑」「太田母斑」「異所性蒙古斑」「外傷性色素沈着症」で、これらの疾患であっても美容目的の場合は自費診療扱いとなる】というのがルールです。
ADMという病名は含まれておらず、治療が美容目的なので保険適用がないと判断します。
ルールを曲げるのはとても苦手です。
ただ、ADMを太田母斑と考え、美容目的以外であれば、保険適用ありということになります。
後述するように、私自身、ADMは太田母斑とは全く異なる疾患であると考えています。
健康保険のルールを管轄する関東厚生局に何度も確認しましたが、厳密にはADMに保険適用はないとのことでした。
ADMの病名でも、状況により保険治療が認められる場合もあるそうですが、原則は自費診療とのことです。
当院では、ADMに太田母斑などの病名をつけて保険診療を行うことはしません。
もう一つの理由は、保険にはいろいろと制限があり、その制限の中では、当院が目指す治療ができないからです。
当院のADM治療は、“濃くて目立つADMを照射すればおしまい”というものではありません。
薄くて目立たないものや細かいものも徹底的に治療します。
薄くて目立たないものも、濃いものがなくなると、存在感が増します。
また、薄いもの、細かいものまで照射することで、肌質も改善し、透明感のある艶肌を目指すことが出来ます。
このような治療は、保険診療では無理です(そもそも美容目的ですらありませんから)。
当院を選んでくれた方に、「ここで治療して本当に良かった!」と感じてもらえるような結果が出せるよう最大限の努力をいたします。
ADMの治療はいわば「一生もの」ですので妥協することなくやりたいものです。
アメリカに住む親戚が、現地の医療費の高さを嘆いていました。
少し薬を処方してもらうだけで、数万円かかるので諦めて我慢する方が多いそうです。
日本の健康保険制度をとても羨んでいました。
日本の医療費の増大が、とても大きな問題となっています。
未来のために、貴重な健康保険制度を守りたいと思っています。
ADMは太田母斑なのか?
老人性シミやソバカス、肝斑などのいわゆる「シミ」は、表皮(皮膚の浅い層)に色素が異常に沈着した状態です。
通常、色素細胞は、表皮の一番深い部分(基底層)に存在します。
しかし、ADMの場合は、表皮ではなく、より深層の真皮に色素細胞が見られますが、この理由は明らかになっていません。
似たような状況は、太田母斑などのいわゆる「青あざ」で見られます。
そのため、ADMは「アザ」と呼ばれることがあります。
実際に、ADMは太田母斑(青アザ)と同一視されていたという過去があり、現在でも「遅発性太田母斑」と呼ばれる場合がありますが、正式には「遅発性太田母斑様色素斑」であり、別物だと考えます。
太田母斑は、ほとんどが片側性で、三叉神経第1・2枝支配領域に発生するという大前提がありますが、ほとんどが両側性であるADMには当てはまりません。
発生部位や発生年齢、特徴など、臨床的には一致するものがほとんどなく、ADMと太田母斑は全く違う病態であることは明らかだと考えています。
しかし、ADMの正体については未だ不明な点が多いのが現状です。


ADM治療のよくある質問(FAQ)
ADMの治療料金
治療に必要な料金は、“どこまでやるか”によります。
個数単位での治療
気になる箇所が数カ所の場合は、個数での料金算出になります。
5mm以下:1箇所1回4,000円 5mm以上は1mmあたり1回1,800円(例:7mm⇒12,600円)
定額治療
⇒数に関係なく、見えるものは薄いものまで可能な限り照射するプランです。
実際に治療してみると分かることですが、ご自身で認識されているよりADMやシミは多いことがほとんどです。
濃くて目立つものだけでなく、薄くて見えにくいもの、細かいものなどもあるからです。
治療前は、“濃くて目立つものだけなくなれば満足”でも、それがなくなれば、薄いものでも目立って気になるようになります。
黄色の範囲:両側で1回49,000円
⇒ADMが頬上部の外側にしかなく、ADMの数が多い、もしくは薄いものまで可能な限り全部治療したい方におすすめです。範囲内にあるシミやソバカスも区別なく照射します。
青色の範囲:両側で1回69,000円
⇒ADMだけでなくシミやソバカスも合併していて、頬の上半分の範囲で薄いものまで可能な限り全部治療したい方におすすめです。目の下のクマ部分にあるADMも照射します。
頬全体:両側で1回99,000円
⇒ADMを含めて頬全体にシミやソバカスがある場合におすすめです。
※目に近い部分の治療は、レーザー用コンタクトが必要になり、別途費用がかかる場合があります。
レーザー治療費以外にかかる料金
診察料:初診2,000円 再診1,000円
麻酔代:ペンレステープ1,000円 エムラクリーム3,000円
他に、アフターケアに必要な外用薬代などが別途必要になります。